October 24, 2007

「白い恋人」と「赤福」の共通点


  伊勢名物「赤福」にも、製造日偽装、廃棄品の原料としての再利用等の事実が発覚し、三重県は食品衛生法に基づく「無期限の営業停止処分」を下したようです。先日の「白い恋人」に続き、定番土産の信頼がまた、突き崩されることになりました。いずれも商品も私も出張帰りによく購入していただけに、ショックです。

  それにしても、この2社、とても共通点が多いことに気がつきます。

  いずれも同族経営の菓子メーカーの老舗で(「白い恋人」の石屋製菓は1959年設立、「赤福」の株式会社赤福は1954年設立)、「白い恋人」は、発売してから30年、「赤福」に至っては、源流製品を発売してから300年の伝統があるようです。両社の売上規模も石屋製菓が90億程度、赤福が80億程度で、似通っています。また、製造日偽装は、石屋製菓が11年、赤福は30年などといわれており、不正の歴史まで長い点も共通しています。

  そして最大の共通点は、地盤としている地域のどこの土産店にも置いてあった「白い恋人」と「赤福」への売上依存度が極めて高いことです。(「白い恋人」で売上の8割弱、「赤福」はそれ以上ではないかと、新聞記事には書いてありました。)やはりこれだけの全国的な知名度のある定番商品を持っていると、その製品の製造・販売に特化した方が効率的ですし、利益も出ます。経営者として、主力製品の拡販に特化したくなる気持ちはよくわかります。(流行の言葉で言う「選択と集中」でしょうか)
 
  ただ、特定商品の製造・販売に特化すると、その商品の売れ行きが何らかの理由で悪くなった時の経営に与える影響は非常に大きくなりますし、何より事業活動が全て特定商品の需要動向に左右されるため、需要の季節変動性が大きい商品だったりすると、操業度の平準化がとても難しくなります。その結果、「作り貯め」みたいなことが横行し、今回の不正のようなことにつながったりするわけです。このように考えていくと、「特定製品への特化」という事業戦略を極限まで進めていった結果、今回のような不祥事は、「起こるべくして起こった」とも言えそうです。

  特定製品、特定顧客への集中は、大きなリターンを生む可能性もありますが、それには大きなリスクが伴います。経営者も頭では十分にわかっているのでしょうが、こういう会社に限って、次の製品・事業がなかなか育てられなかったりもします。今回お尻に火が付いた2社が、内部留保があるうちに「次の製品」が生み出せるかどうか、「災い転じて福となす」ことができるかどうか、老舗の力量が問われる正念場ですね。

 そういえば、この会社も大丈夫でしょうか?最近、「豆乳クッキーダイエット」聞かなくなりましたが・・・。


01:21:00 | cpainvestor | | TrackBacks