August 09, 2005

狙いはストック型でかつスイッチングコストが高いビジネス?

 
 ストック型ビジネスの概念を語る時、もう一つ忘れてはいけない概念が、スイッチングコストである。ストック型ビジネスを展開する会社のサービスを受ける顧客にとって、当該サービスと競合するサービスへの乗り換えのコスト(スイッチングコスト)が高くつく場合、好むと好まざるとに関わらず、その会社のサービスを使わざるを得なくなる。

 携帯電話のナンバーポータビリティ制度の導入が何故これだけ業界で騒がれるか?それは、ナンバーポータビリティの導入で、顧客にとってのスイッチングコストが劇的に下がるからである。スイッチングコストが下がると、よほど独占的なサービスで代替がない場合を除き、競合他社のサービスが魅力度が高まれば、即顧客間での乗り換えが始まる。ストック型ビジネスを展開する企業にとって、足元状況における顧客の純減は、累積的に効いてくるために死活問題となる。

 YAHOOBBがなぜ、あれほどコストをかけてまでADSLをばら撒いたのか?「メールアドレス」という顧客にとって変更のしにくいアイテムを提供することで、スイッチングコストを高く設定し、契約加入後無料サービスの提供期間後の大幅な解約を防ぐことができると踏んだためである。

 ストック型ビジネスを営む企業で、スイッチングコストが高い会社の収益安定性は極めて高い。こうしたビジネスを展開する企業に割安で投資できれば、経営環境の劇的な変化がない限り長期に渡って高い収益の恩恵を受けることができるはずである。

 だからと言って誰もが思いつく、電力、ガス、電話などの代替サービスの少ない万人向けインフラビジネスでは、うまみが少ない。なぜなら日本経済全体が成熟化する中で、こうした会社のサービスの利用が大幅に増加することはありえないからである。日本の中で探すなら、ニッチ分野で成長が見込まれるストック型ビジネスを探すべきである。

 ただ、海外に目を向けるならば、経済全体のパイが拡大している国では、万人向けインフラビジネスに注目するのも悪くはない。

 2年前に中国株を始めた頃、中国経済全体の成長に期待し、こうしたインフラ系ストック型ビジネスに注目した。悩んだ末に、その資金のほとんどを中国No.1 の携帯電話会社チャイナモバイル(香港9041)と中国No.1の損保会社PICC(香港2328)に投じた。

01:15:56 | cpainvestor | | TrackBacks