April 13, 2006

創通エージェンシー(3711)の中間決算発表

私のポートフォリオの一角を成すキャッシュリッチガンダム銘柄、創通エージェンシー(3711)の中間決算発表があった。発表前に中間業績の上方修正の報道が出ていたので、発表によるサプライズはなかったようである。
この銘柄の特徴は、良くも悪くもスーパーキラーコンテンツ、ガンダム関連の売上次第というところである。手を変え、品を変え、ガンダムを出し続けている限り、この会社は、ガンダムのコアユーザーから着実にオカネが入ってくる仕組みを構築している。次なるコンテンツ開発にはいろいろ投資しているのだが、ハローキティのサンリオと一緒で、なかなか次なる柱が出てこない。ただ、サンリオと大きく異なるのは、オーナーが株好きだったりしないので、着実に稼いだキャッシュがたまっていることである。
この中間期末において、キャッシュだけで5,407百万円、保有投資有価証券等の時価総額が2,580百万円もあり、有利子負債はゼロである。つまり換金しやすい保有資産の価値だけで7,987百万円もある。
コンテンツ銘柄の特徴は、「単年度のPLがほとんど役に立たない」ということである。今回の上方修正にしても、「たまたまキャッシュの入金のタイミングが当上半期に集中し、アニメなどのコンテンツ制作投資が下期にズレこんだ」ぐらいに、考えておいた方が無難であると思っている。会計上、コンテンツ開発への投資は、投資回収の不確実性を鑑みて、一括費用処理、もしくは当初売上(アニメの放映期間の収入など)に対応して一括売上原価処理をしてしまうことが多い。しかしながら、投資する側は、当然、当該コンテンツの多重利用(DVD化、キャラクターライセンス収入など)を想定している。つまり、投資から回収までの期間が長期にわたるため単年度決算にはなじまないのである。
アニメ、ゲーム、パッケージソフト開発などコンテンツ銘柄全般に言えるのは、利益はかなり操作しやすいということである。これは、開発投資の出資時期と回収時期が大きくずれる上、コンテンツ開発の関する明確な会計基準がないため、開発投資を資産とするか、費用とするかに各社の裁量にゆだねられる部分が大きいからである。
従って、こういう会社のパフォーマンスを評価するためには、会計上の利益ではなく、営業CF、投資CFの経年推移を見ることが重要である。
創通エージェンシーの過去3年感営業CFと投資CFの推移は以下の通りである。
(百万円)01/08,02/08,03/08 ,04/08,05/08,06/02(中)
営業CF,642,431,203 ,490,1712,34
投資CF,96 ,△370,△1271,87,△4,△428
今中間期は、おそらくコンテンツ制作会社への開発出資金?(前渡金△604)などで、営業CFが低下してはいるが、平均すると税金を引いた後で、毎期500〜600百万円程度のキャッシュを本業で稼ぎ出すことができるのではないか。
コンテンツへの制作投資は、メーカーにおける固定資産投資などと異なり、投資CFには含まれず、毎期の一括コストとして処理していると考えられるため、株式取得などの関連ビジネスへの投資を除けば、投資CFとしては、めぼしいものがない。
例えば、全く企業成長がなく、毎期600百万円程度のキャッシュが、今後も20年間は継続的に入ってくると仮定し(保守的に見るため、20年後は事業価値をゼロとする)、割引率を5%として事業価値を計算すると、エクセル算式でPV(5%、20年、600百万円)=8,456百万円となる。
 つまり、全く企業成長を織り込まず、20年後にガンダムの価値が消滅するという前提でかなり保守的に見積もっても、この会社は、事業価値8,456百万円+資産価値7,987百万円=16,443百万円程度の価値はあることになる。
ちなみに、今日の時価総額は15,312百万円である。竹田和平さんも買っているようである。


23:59:20 | cpainvestor | | TrackBacks