July 09, 2006

「子会社上場」錬金術

以下、7月8日付け日本経済新聞より抜粋です。

  ヘラクレス上場のフォトニクス傘下でレンズ計測・検査装置製造のナノテックスが七日、札幌証券取引所アンビシャスに新規上場した。同市場には「子会社上場」が相次ぎ、五社中三社が他市場の上場企業の子会社という状況だ。「新興企業に成長資金を供給する本来の役割から逸脱している」と疑問の声もある。
 ナノテックスは公募と売り出しで三億七千五百万円を調達した。一方、親会社のフォトニクスは二〇〇一年の上場時に十二億円の資金を市場から吸い上げながら、〇五年六月期まで四期連続の経常赤字。ナノテックスの嶋本篤社長は上場理由を「優秀な人材を確保するため」というが、結果的に資金の「二重取り」になった形に批判も多い。

  以前に、好況時のIPO銘柄の質の劣化について記載しましたが、日本は、新興市場が乱立し、現在は、玉の取り合いの様相を呈しています。(東証は最近、若干引き気味にはなっていますが・・・)ちなみに、2005年の日本のIPO件数は160件で、同時期の米国は194件です。両国の経済規模を比較した場合、いかに日本のIPOの件数が多いかは、実感していただけると思います。
  このIPO件数を支えているのは、言うまでもなく、「子会社・関連会社上場」です。企業グループの価値の切り売りである子会社・関連会社上場は、これまでも批判の多い制度でしたが、ここ数年その弊害はより深刻化している気がしてなりません。
  「富士電機→富士通→ファナック」の例もあるように、子会社が資本市場からの独自の資金調達手段を得ることで、子会社の士気を高め、成長が加速される良い面があることは否定しません。ただ、近年の子会社、関連会社の上場は、親会社の事業資金の「代理調達」の側面がより強くなっている印象を受けます。「一昨年、新興市場に上場した会社が唯一、虎の子の子会社(もしくは他所から買収した子会社)を、今年、別の新興市場に上場させた。(しかも公開後も親会社持株比率は67%超)」などという事例は、こうした事例の典型例でしょう。しかも仕事の大部分が親会社グループがらみのものであった場合には、より悪質です。子会社株式を使った錬金術だと批判されるのもやむをえないでしょう。そもそも、本当に価値貢献のある企業ならば、連結企業価値向上の観点からは、絶対上場などさせないはずです。
  新興市場が乱立していることで、同じビジネスを何度も公開させるような事例が続出しています。その害を被るのは、「何も知らない一般投資家」です。議決権の過半数の握られていて「経営の独立性」というものはありえません。それなのに上場審査基準に「経営の独立性確保について確認する」とあるのはおかしいですよね。何だか道路交通法の「制限速度」みたいなルールです。

  私は、「子会社株式を絶対買うな」というつもりはさらさらありません。そう言ってしまうと、自分の仕事の一部(例えば、子会社の上場支援業務)を否定しなくてはいけなくなります。ただ、一人の投資家として、道路交通法の「制限速度」と一緒で、制限速度を超える際のリスクを十分に認識した上で、自分にあったスピードを出して運転していくというスタンスが重要だと思います。
  まずは、「制限速度を超えた運転をしたときのリスクが何か」を十分に認識することが必要でしょう。特に乗ろうとしている車(銘柄)が出たばっかりの軽自動車である場合には、特に注意が必要です。


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July 01, 2006

06年上半期総括

△4.1%です。

Half year performance



最後の最後でTOPIXに負けてしまったのは残念です。自分の「買値10%下落損切りルール」に従い、6月の底値で強制売却、損失確定してしまった銘柄が出てしまったのが痛いです。(こんな銘柄に限って月末までに多少戻してきていたりしています。)
私はどんなに割安だと思って購入した銘柄も「買値10%下落損切りルール」を徹底しています。これは私のリスク管理ポリシーですので、譲れません。
むしろこの程度で済んだのは、中国株のアウトパフォームが効いているためで、日本株だけで見れば、6月は惨敗です。分散投資の重要性を改めて認識する今日この頃です。

今月は、動くべきか、動かないべきか迷いましたが、損きり覚悟で動き、だいぶポートフォリオの中身を入れ替えました。これが、下半期以降に吉と出ることを祈りたいと思います。


もう少し分散投資を徹底するため、ボーナス資金の一部は、米国株に振り向けようと思っています。「日々之修行なり」です。


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