October 29, 2006

Hard work, Intelligence, Trustworthy



   「香港大富豪のお金儲け」(下図)という書籍を読了しました。「ユダヤ人大富豪の教え」のときと同様、タイトルがどぎついので購入を躊躇しましたが、著者が、私も口座を保有している、香港株を専門とするインターネット証券会社、ユナイテッドワールド証券を立ち上げた社長であったため、購入しました。
   内容の半分は、「著者が岡三証券香港支店の営業マン時代に知りあった華僑大富豪の人となりについて」で、あとの半分が、「著者が一介の証券営業マンからスタートしてユナイテッドワールド証券の社長になるまでのサクセスストーリー」となっています。

   冒頭のタイトルは、著者が知りあった華僑投資家、タム氏のビジネスパートナーを選ぶ条件です。著者はこれを「よく働いていて、創造的知識に富み、決して裏切らない(短期利益を追求しない)」人間だと解釈しています。これは、示唆に富む指摘で、私もまったくそのとおりだと思いました。

   著者は、サラリーマンとしてスタートして、経済的な成功を収めるための鉄則を以下の3つに総括しています。

? サラリーマンとしてハードワークをこなし、仕事のスキルを身につける。
? 信頼に足る人脈を築き上げながら、タネ銭をためる。
? 感情に左右されることなく、経済的合理性に基づく投資を行う。


   目的意識の高い方なら、?のステップは既に実践していると思います。?、?のステップを頭で理解しているだけでなく、きちんと実践できるかどうか、ここが分かれ道であるように思いました。
   短期的な利益ばかり追求したり、周りの方々への感謝の気持ちを忘れたりすると、決して本当の意味での「人脈」は築けないことを実感します。また、「タネ銭」をしっかり貯められるかどうかは、経済感覚やビジネスセンスを身につける上で極めて重要だと思います。「常に経済合理的な投資が行えるかどうか」、まだまだ感情に引っ張られることが多い自分としては、これも重い課題です。


   私は、3年半ほど前、中国株を始める口座を開設する際、いくつかの証券会社を検討しました。オフショアの香港KGI証券、国内の中堅証券会社である東洋証券、そしてこのユナイテッドワールド証券です。

   KGI証券は、香港のインターネット証券で、日本人でも口座を比較的に容易に開ける上、オフショアであるため日本の証券税制が直接的に適用されない点が魅力でした。ただ、取引が全て英語であり、ややハンディがある上、入出金取引にかなり手間がかかることがわかったため、最後の最後まで悩みましたが、口座開設を断念しました。
   東洋証券は、中国株の取扱も当時から比較的多かった上、日本語で取引できる安心感もありましたが、いかんせん取引手数料が高かったです。それにそもそも対面のサービスは望んでいませんでした。
   ユナイテッドワールド証券は、新興のインターネット証券会社として信用度にやや不安があるものの、香港の同名子会社が証券取引所の正会員となっており、売買注文の直接取り次ぎが可能でした。このため、日本語で取引できるにもかかわらず、取引手数料は中国株を扱う国内証券会社では一番安く、ほぼ全ての香港上場銘柄の売買が可能でした。

   こうした比較検討の結果、ユナイテッドワールド証券に口座を開いてはや3年半、今年はだいぶその運用益に助けられました。ウェブサイトのサービスレベルも口座開設当初に比べてかなり上がっている印象を受けます。

   タイトルはどぎついですが、華僑投資家の思考法に興味を持った方には、いくつか示唆に富む指摘は見つけることができる書籍だと思います。2時間で読めますので、通勤の友にはちょうど良いと思います。





22:43:08 | cpainvestor | | TrackBacks

October 11, 2006

「英語・コンピュータ・数字に強いビジネスマン」=「ものすごく芸達者な飼い犬」


   今日は2時間で読める面白い会計本を紹介します。「数字は見るな」(下左図)というタイトルの会計本です。著者曰く、本の隠れコンセプトは、「小学生にもわかる会計」です。著者の田中靖浩氏は、会計士業界ではかなり有名です。というのも、有名な大手の会計士受験予備校で、長年「財務諸表論」 の人気講師であったからです。実は私も、「カネなし、職なし、彼女なし」の修行僧のような無職受験時代の気分転換?に、彼の講義を受けていました。
 
   内容は書籍を読んでいただくとして、読者に会計の本質をわかりやすく「イメージ」でつかまえさせることに関しては、田中氏の右に出る方は業界にいないのではないでしょうか。敵情偵察のため、「さおだけ屋はなぜ潰れないのか?」や、「なぜ、社長のベンツは4ドアなのか?」も本屋でパラパラと立ち読みしましたが、購入してみたくなったのは、この一冊だけでした。会計について書かれた本は山ほどありますが、姑息な節税対策や、時事ネタ(危ない会社ランキングなど)に頼ることなく、きちんと本質を抑えていてこれ以上にわかりやすい本はなかなかないと思います。基礎から会計を勉強してみたい方にはオススメです。ちなみに私が決算書に関するセミナーや勉強会をするとき、いつも薦める本は、同一著者の「経営が見える会計」(下右図)です。
 
   冒頭のタイトルはこの著書の中で、多くのサラリーマンが目標としているタイプのビジネスマンを著者独特のユーモアで皮肉ったものです。とても印象的だったので今日のタイトルとしていただいてしまいました。私の周りにも「芸達者」な方が沢山いらっしゃいますが、儲かっている会社のオーナー社長さんなどとお話すると、「芸達者」なだけでは、絶対に「経営者」のレベルには到達できないことを日々痛感させられます。

 私は、専門家も大きく分けて3つのレベルがあると思います。

(レベル1)難しいことを限られた方に難しく説明する専門家
(レベル2)難しいことを、多くの人にわかりやすく説明する専門家
(レベル3) 難しいことも易しいこともとにかく「あなたが話すなら・・・」と多くの方に納得させてしまう専門家

 
   ファンクラブまでできてしまうレベル3のカリスマ専門家はともかくとして、まずは私自身もレベル2を目指したいと思います。



 


01:26:40 | cpainvestor | | TrackBacks

October 06, 2006

子を持つ親として考えさせられた衝撃の告発書



  どこかの雑誌の書評欄を読んで興味を覚え、「食品の裏側-みんな大好きな食品添加物」を読了しました。世の中の食品のほとんどは既に添加物なしでは、提供できない状況となっていることが、添加物博士と言われた食品添加物販売会社の元トップセールスマンの手によって克明に描かれています。
消費者にいかにして低コストでみばえのよい手軽な加工食品を提供するか」、「生産者をいかにして重労働から解放するか」を突き詰めて考えていくと、多量の食品添加物を投下して食品を製造せざるをえない現状が見えてきます。漬物、練り物、ハム・ソーセージなどの製造工程の事例紹介を読む限り、あまりにむごい惨状に目を覆いたくなります。製造工場で働く従業員の多くが、そこから出荷される食品を購入しない現実に衝撃を受けました。

  私もこれまで、コンビニのおにぎりや様々な惣菜を、子供に手軽に与えてきましたが、これだけ書かれると、さずがに「どうしたものか・・・」と考えてしまいます。私は息子達の「味覚の破壊者」「健康の破壊者」であることは間違いなさそうです。

 著者は、「一人一人の消費者が、食品の裏面表示をよく見て理解することの重要性」を、その表示内容のウラも含めたわかりやすい解説と共に淡々と説明しています。「情報の価値は受け手の能力に依存する」は平九郎さんの名言ですが、投資の分野だけではなく、食品の分野に関してもまったくそのとおりであることがわかりました。食品添加物の世界から完全に逃れるのはどうみても不可能ですが、これからは少しでも子供の味覚と健康を破壊しないよう、妻と共々努力しようと思いました。

 「私は多くの職人の魂(伝統の技)をつぶしてしまった」という著者の告白は改めて重いと思いました。素材と季節感を生かした和食は世界に誇れる料理だと常々思っていましたが、その和食でさえ、既に過去のものとは大きく異なっていることがよくわかりました。日本人の味覚もグルタミン酸ナトリウムに相当破壊されているはずです。

この現状を少しでも改善するために、自分には何ができるのだろう」と自問自答しました。まずは調味料の買い替えと週末の手料理のより積極的な関与からはじめようと思います。

  この分野の専門家には既知の内容なのかもしれませんが、今まで「食品添加物」に関する知識はほとんど持ち合わせていないという方には、最適の書籍だと思います。特に子供を持つ親御さんには、必読の書ではないかと思い、今妻に読ませています。

  「無知の怖さ」を改めて実感させられました。


01:40:07 | cpainvestor | | TrackBacks