December 23, 2006

世界最強の経営者養成機関

   
   世の中には、若くてもやはり凄い人がいるものです。小学生時代を英国で過ごし、開成→東大法学部(在学中に司法試験合格)→ボストンコンサルティング→インターネットキャピタルグループ→リップルウッドと、まったく無駄のないようなキャリアを歩いてこられたダイスケさんの「ハーバードMBA留学日記」(下図)を読みました。昔、真剣に海外のビジネススクールへの留学を考えた時期があったものですから、ハーバードビジネススクール(HBS)というところが、どんなところか非常に興味がありました。そのため、本屋でこの書籍が目に入ったとき、そのタイトルがつい気になって購入して読んでみました。

   正直、本当に驚きました。もちろん書籍として書かれたわけではなく、ブログをまとめたものなので、読みにくい部分はあります。ただ、それを差し引いても、ひとつひとつのテーマに対する著者の深い洞察力と知見が伝わってくる内容で、非常に勉強になりました。また、同時に、世界のエリートが結集し、「世界最高の経営者養成機関」とも呼ばれるHBSでは、どのようなバックグラウンドを持った人間が集まり、どのような内容が教えられているのか、その内容も多くのページを割いて記載されており、「本当にすごいところがあるものだなあ」と改めて思いました。
   留学日記という体裁はとっていますが、実際には著者の人生観、米国観、米国から見た世界観などを綴ったエッセイ集とも言えるでしょう。オススメです。

   
   特にこの著書の中にあった、ソーシャルエンタプライズを扱った「民と公が交差するところ」、プライベートエクイティやヘッジファンドの業界を扱った「ファンド資本主義」、キャリア論や、ワークライフバランスについて扱った「キャリアと人生の送り方」は、本当に一読の価値のある内容でした。いずれの分野も日本の10年先を行っているような気がして、非常に教えられ、また考えさせられました。

   ビジネススクール入学前の段階で既にプロとしてのビジネス経験も豊富で、英語、日本語をまったく何の障害もなく使いこなし、世界の若手エリートと対等にコミュニケーションをとって物事を進めている著者の姿を見て、「日本人でもこんなにすごい人がいるのだなあ」と改めて感心しました。しかも、私より年下です。この人が、日本に帰国されて何をしようとしているのか・・・とても興味深いです。何かこの国に付加価値を生み出す事業を創出してもらいたいと思います。(後から知りましたが、ダイスケさんは、日経新聞の記事になったそうですね。帰国されて、ネットでの生命保険事業を始めるようです。梅田さんのブログで私もそのことを知りました。)
私もダイスケさんのブログの読者になろうと思います。

   「ビジネススクールで学ぶ」という環境を生かすも殺すも、その人次第なのだと著者も言っています。ただ、やはりHBSは20百万円を投資する価値のあるところなのだと思います。私には到底、財力的にも能力的にも無理ですが・・・。


 最後に、書籍の中にあった、「eBayのCEOがHBSの講演で残したキャリア上のアドバイス」を転載します。

○ Do something you enjoy.
(あなたが楽しいと思える仕事をしなさい。)
○ Deliver results. 
(必死にやって結果を出しなさい。)
○ Note down your learnings.
(学んだことを書き留めるようにしなさい。)
○ Be patient-career is a marathon, not a sprint.
(我慢しなさい。人生のキャリアは短距離走ではなく長距離走である。)
○ Build a great team, and share credit with team.
(一人でやろうとせず、優秀な人を集めてチームを作り、成功を分かち合いなさい。)
○ Be fun to work with.
(一緒に仕事をしていて楽しい人でいることをこころがけなさい。)
○ Don’t be afraid to ask questions.
(わからないことは、恐れず質問しなさい。)
○ Don’t take yourself too seriously.
(うまくいっていないときは思い悩まず、軽く流す。)
○ Don’t compromise your integrity.
(自分の価値観、倫理観にあわないことを強要されたら、その組織は辞め時である。)
○ Don’t drink your own bath water.
(自分の成功に浸り過ぎない。成功できたのは、周りの人と運のおかげと考える。)


      


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December 21, 2006

勝ち残りましょ、銀座で。

 
   「この業界で生きていきたかったら、スーツ代と本代はけちるな。」という新人時代にお世話になった先輩会計士の教えで、スーツ代と本代だけは、なるべくけちらないようにしております。スーツは、私のような商売の人間にとっては、ユニフォームみたいなものなので、必要不可欠な消耗品として割り切り、毎年、夏、冬2着ずつぐらいは購入しています。(耐用期間を少しでも延ばすため、いつもパンツは2本です。)ここ数年は、専らここに通っておりますが、そこはしがない勤め人、せいぜいパターンオーダーが限界です。(ちなみに家での普段着はユニクロも愛用しているため、嫁からは「ギャップありすぎ、バランスが悪い・・・」と言われております。育ちが悪いので仕方ないです。)

   今日ご紹介する書籍、「勝ち残りましょ、銀座で。(下図)」は、銀座の老舗テーラー、「銀座テーラー」の女社長の老舗再建物語です。経営の経験などまったく無かった創業者の御曹司のお嫁さんが、その商才とバイタリティ、よき人に恵まれ、バブル崩壊で経営が傾いた老舗テーラーを見事再建しています。

   印象に残ったフレーズをいくつか引用します。

○ 「人間は洋服を着ることによって品格を表す」と義父はいつも言っておりました。医者が白衣を着ていないと医者に見えないのと同じで、ビジネスマンはスーツを着てきちんと品格を定めて、ビジネス相手に接する必要がある。つまりスーツは鎧である、と。
○ テーラーの経営を軌道に乗せるにあたり、何が苦しかったかといえば、すでに歴史と伝統を持つ会社を途中から新しく変えていくことの難しさを実感せざるを得なかったということです。ゼロから会社を立ち上げていれば、これほど大変な思いは、もしかしたらしなかったかもしれません。私がしばしばたとえて言うことですが、冷蔵庫の残り物で料理を作れと言われているようなものです。新たに食材を買ってきて作るほうが断然早い。ただ、私につきつけられた現実は、すでに冷蔵庫に食材が詰まっていました。老舗の再生では、それは避けることのできないものです。その難しさを覚悟した上で、改革を行う必要があるのです。

 
   この書籍は、徳間書店から出ているので、おそらくタイアップ出版ではないと思いますが、「銀座テーラー」の格好の広告宣伝媒体にもなっています。私もいつかここでオーダーメードスーツを作れるようになりたいと思いました。鰐淵社長いわく、「一度オーダーメードスーツに袖を通したら、再びつるしは着られなくなる。」そうです。レディースもあるようですから、男女問わず「スーツは戦闘服だ!」と思われる方は、ぜひ、オーダーメードに挑戦して、ご感想を頂ければと思います。
私自身はまず、「形」よりも「スーツが似合う中身」を磨くことが先のような気がしております。

   


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