May 02, 2006

好決算の貯金

 以下、3月22日の日経記事より抜粋。
 上場企業の連結業績が来年度、5年連続の経常増益を達成する見通しとなった。リストラにメドを付けて攻めの経営に転じた電機など加工産業の企業をけん引役に、4年連続で最高益を更新する。5年にわたる利益成長は四半世紀ぶりで、日本経済全体の好循環を促しそうだ。

 確かに、今年はどこも空前の好決算だ。減損会計の適用も当初は産業界から猛反対されたものの、この好決算ですんなり強制適用となった。多くの上場会社で、むしろ「他に何か落とせる(損失計上できる)ものがないか」と躍起になって探している状況である。会社の業績が好調な時の会計監査は、精神的にかなりラクである。
ただ、過去にいろいろ難癖をつけて、損失計上を先送りしてきた企業が、急に態度を豹変させ、「何か他に今期決算に織り込める損失はないでしょうか」などといった質問をしてくるのを見るにつけ、「会計とはいったい何なのか」と考えさせられる。
会計の大原則のひとつに「一致の原則」というものがある。ある期に費用を取りこめば、それは別の期の収益要因となり、長期にわたって全体としてみたならば、その出入りは一致するというものである。

 今期の決算において、好決算を連発している多くの上場企業が、取り込めるだけの損失を営業外費用、特別損失などでできるかぎり取り込んでいるはずである。特に決算発表間際になって、経常増益と特別損失計上を同時に発表する会社などを見ると、「お尻の利益を見て、調整しているだろう」といういわば確信犯的な匂いを感じるわけである。「なんだかなあ」と思うことも多いが、取締役会で意思決定しているものを止めるわけにもいかず・・・。

 こうして、目いっぱい損失を前倒し計上して貯金している分、来上期は相当楽なはずである。この貯金が最低でも年央までは続くだろうから、来期も業績的には、どんなに悪くても横ばい程度までは行くはずである。そうなると、注目すべきは予想数値としてどの程度の増益数値を出してくるかである。GW明けの決算発表に着目したい。

01:13:28 | cpainvestor | | TrackBacks