October 13, 2007

理と情

  
  リサーチ系シンクタンクのいかにも理系のコンサルタントの話を聞いたり、お仕事でいわゆる有名ファンドのInvestorの方とお話をしたりすると、その場では「う〜ん、この人賢いなあ、切れるなあ」と思うことが多々あります。ただ、しばらくすると、何の話をしたか、まったく覚えていないことも多いのです。「なぜなのだろう?」と考えてみると、やはり、印象が薄いのだと思います。やはり、印象に残る話というのは、面白い視点とか、シャープな分析の視点があるだけではダメで、「なんかあの人、熱い人だったなあ。」とか、「考え方にとても共感を覚えるなあ」とか、そういった感情とセットになっていることが多いように思います。

  組織の中で仕事をしていたりすると、こういう傾向はより顕著だと思います。「あの人、言っていることは筋道が立っていて正しいのだけど、なんかとっつきにくいんだよな」と、敬遠されている方がいる一方で、「あの人に言われると断れないんだよな」的な人望がある方もいたりするわけです。後者の方は、だいたいものすごく後輩の面倒見が良かったりするわけです。

  結局、人間は、「理」だけでは、本当の意味で動けない(モチベーションを高く保った仕事はできない)のだと思います。チームとして良い仕事をするためには、「情」や「共感」が絶対に必要なのだと思います。

  
  私は最近、ある巨大組織が音を立てて壊れていく様を間近で見たわけですが、「結局、誰に優秀な人間がついていくか」は、最後はリーダーの「人間力」、すなわち、その人が日頃からとっている行動や信条が、最も重要な要素であるということが、改めてよくわかりました。

  「人間力」の差は、修羅場に立たされた時、顕著に現れます。「部下を置いて敵前逃亡」するリーダーは論外ですが、「決断ができない」「自分だけ生き残ればいい」的なリーダーも実に多いです。

  こういった場面に若いうちに直面することができたことは、本当に自分の財産になったように思います。「自分がリーダーの立場に立った時には、絶対に後ろ指をさされるような行動だけはするまい。」心から、そう思う今日この頃です。


P.S.
  今回のKENさんのコラム「金持ち父さん、貧乏父さん」に私はとても共感を覚えます。皆様もぜひお読み下さい。


21:14:41 | cpainvestor | | TrackBacks