February 15, 2007

「氷山の一角」でないことを祈ります

   

   先にたーちゃんさんに書かれてしまった感もありますが、以下、NIKKEI NETより抜粋です。

   証券取引等監視委員会は14日、金融庁に対し不動産投資信託(REIT)運用のダヴィンチ・セレクト(東京・中央)を行政処分するよう勧告した。グループ内のファンドが保有する不動産を系列REITに割高な価格で取得させ、投資家の利益を損ねた。

   証券取引等監視委員会もようやくひとつ尻尾を掴んだというところでしょうか。ダヴィンチ・アドバイザーズ系列の私募ファンドから、運用を受託しているDAオフィス投資法人(REIT)が物件を購入する際の価格が、明らかに割高であったとして、ダヴィンチ・セレクトに業務停止の行政処分を勧告しています。
   割高に購入させるための手法としては、当該物件が賃借人と契約する際のフリーレントを加味しない、既に受領済みの敷金償却収入を加味するなどの手口で物件の予定収入を増やし、同時に水道光熱費や建物維持管理費の過小計上などにより予定支出を減らすことで、物件の想定純収入を水増しし、結果として物件価格を吊り上げるというもののようです。誤解のないように付け加えておきますが、会社側からのプレスリリースでは、あくまで悪意はないような文面になっています。

   不動産は、相対取引が基本ですので、妥当な値段がいくらなのかは極めて分かりにくい代物です。その上、不動産鑑定士が作成する鑑定価格は、計算前提を少し変えれば全く違う数字が出てきますので、参考価格程度の指標にしかならないはずです。実際、同じ物件に関して同じ資料を渡しても、出てくる鑑定価格が異なるのが不動産鑑定の世界ですし、どれを採用するかは、取引当事者の自由です(笑)。(私は別に不動産鑑定士が悪いとは思っていませんので、関係者の方誤解のないようお願い致します。)

   そもそも、自社グループの中に抱えていた物件を運用受託するREITに売却するなどという行為は、普通に考えても、コンフリクト(自らの息のかかったREITに高値で売却すればするほど自社に利益が出る)が生じます。ただ、最近のREITバブルでこういった系列グループ間、親密取引先間の不動産物件のキャッチボールは頻繁に見られるようになっていますから、そろそろ「危険な兆候」だと思います。

   これまで何度か指摘してきましたが、このようなビジネスモデルそのものに投資家の利益を害するようなコンフリクトが生じている企業は、やはり投資するのは危険だと思います。これが、私が不動産流動化銘柄に最後まで手を出せなかった理由です。

   氷山の一角ではないことを祈ります。



P.S.
   どうでも良いニュースなのかもしれませんが、やはりお二方は公私共に仲睦まじい状態だったのですね。妙に納得がいきました。それにしても、婚姻届と大量保有報告書を同時に提出するカップルとはまたオシャレです。

  インデックス落合会長と小川取締役が入籍・株式みなし共同保有
 インデックス・ホールディングスの落合正美会長は14日、関東財務局に大量保有報告書を提出し、落合(旧姓小川)善美取締役が同社株式のみなし共同保有者になったと公表した。両氏が11日付で入籍したため。


23:33:44 | cpainvestor | | TrackBacks