March 24, 2007

集大成

  

  個人的なことで恐縮ですが、この3月期決算をもって、会計監査の仕事からは、距離を置こうと思っています。理由はいろいろありますが、ここ数年で担当してきたいくつかのクライアントが無事上場企業として巣立ち、一区切りついたこと、今後、内部統制ルールの厳格化などで、監査業務がますます属人的な要素が排除された達成感のない「作業」となっていくことなどが影響していると思います。

  今後、しばらくは、M&A関連の業務やその他の経営コンサルティングサービス業務に軸足を移していこうと思っています。

  これまで約9年間、途中、証券取引所にて新規公開企業の上場審査業務を挟みながら、会計監査という業務に携わってきました。そうした中で、洋の東西を問わず、様々な業種、業態の企業に訪問し、個々の業界やビジネスモデル、内部統制の仕組みなどについて多くのことを学ぶ機会がありました。そこで知り得た様々な知識を前提とした場合、個別事業のリスクがいったいどこにあり、それがどのような形で財務数値となって顕在化してくるのか、そういったことを常に考えながら仕事をしてきました。これだけの期間やっていると、当然ながら、実際に企業内の不正、粉飾決算などにも遭遇する機会もありました。自分としては使命感をもって、この仕事をしてきたつもりではありますが、監査報酬を直接的に頂く先はクライアントですから、粉飾容認は言語道断だとしても、どうしても「目先のクライアントの立場」を考えてしまう部分もあったかもしれません。

  会計監査制度は、本来「一般投資家保護」のためにある資本市場のインフラサービスです。だとするならば、会計監査で培った私達会計士の「企業を見る視点」に関する知識、経験も一般投資家の皆さんに還元すべきものであると言えるかもしれません。

  決算発表の最終段階で会社の会計処理を監査法人が容認しなかったことによる業績の大幅下方修正、その他粉飾決算事例などが明るみに出るたびに、私達の監査業務が批判に晒されます。「会計士は一体何をやっているのか、株主はなす術がないじゃないか。」と。
 
  本当に全くなす術がないのでしょうか。投資で実績を上げるために大切なのは、「大きく負けないことだ」ということは多くの個人投資家の皆さんが気づいているはずです。ある程度の財務会計知識を身につけ、業種業態の特徴を知った上で、各企業の開示資料を「深読み」すれば、少なくとも「明らかに怪しい会社」は見えてくるはずだと私は思っています。

  
  今回、シェアーズの山口さんの誘いを受けて、私としては初めて個人投資家向けの共同セミナーを行うことにしました。これまで、本業関連のセミナーは別として、この手の大掛かりな投資セミナーのお誘いはお断りしてきました。もちろん本業が忙しいということが最大の理由であったわけですが、今回は、「自分の9年間の仕事の集大成をする良い機会であったこと」、「理念を同じくするプロフェッショナルの山口さんからのお誘いであったこと」からお引き受けすることにしました。

  お引き受けすることを決めた以上、時間の許す限り、実例を豊富に織り込んで資料を作り込み、9年間の集大成にふさわしいものにしたいと思いました。2週間前から、夜な夜な資料を作り始めました。自分にプレッシャーをかけるためにも、お値段もそれなりのものにしてもらっています。

  「私は決算書をきちんと読んで投資をしている」という投資中上級者の皆様に、より洗練された「騙されない投資家」となっていただくべく、「より深く、開示資料を見て考えてもらう機会」を人数を限定して提供したいと思っています。私も真剣勝負でがんばりたいと思っていますので、「我こそは」という方は是非ふるってご参加下さい。

   なお、あらかじめ申し上げておきますが、個別銘柄の推奨は致しませんし、インサイダー情報の提供も致しませんので、その点はご了承頂ければと思います。

お申込みは以下のシェアーズのページからとなっています。

現役会計監査人が初めて明かす決算書深読み術セミナー


  なお、セミナーの内容についてのご質問等があれば、以下のコメント欄に記載して下さい。 




03:31:46 | cpainvestor | | TrackBacks