May 17, 2007

アセット・アロケーション



  最近、バリュー投資家の間でもアセット・アロケーションを意識した資産配分を行っている方が多いようです。個別企業の収益バリュー投資で抜群の実績を残してこられた個人投資家の角山さんのコラムを見ても、最近は、世界各国の株式市場への国際分散投資や、金融商品間(株式・債券・REITなど)での分散投資が推奨されていますし、実際に、楽天証券が手数料の安い海外ETFを次々に販売しはじめたことで、INDEXによる国際分散投資を行う環境が抜群に良くなってきました。(楽天証券様、早くその勢いに乗って、欧州株だけのETFも出して下さい。)

  ポートフォリオ理論を勉強すればするほど、最終的に「理想の資産運用」は、国際間、金融商品間で、ポートフォリオにしめる各資産の割合を一定に保つように、各カテゴリーの資産額のバランス調整だけを定期的に行う「退屈なアセット・アロケーション」運用に行き着くことは、私も重々承知しております。実際、かなりの資産額をお持ちの方が、「資産額を目減りさせない投資」をプライベートバンクに頼むと、ほとんどこの「退屈なアセット・アロケーション」スタイルの運用がなされるようです。

  私も3年ほど前から、たいした資金額ではありませんが、国際間の分散投資を実施してはおりますが、これまで各国の個別株が中心でした。今回、楽天証券が「iShares Dow Jones Select Dividend Index Fund(DVY)」を出したのを機に、資金を米国株に移して、何も考えずに少しこのINDEXを購入してみようかと、数日前までは思っていました。


  
  本土中国人に外国株投資が一部解禁になるというニュースもあって、ここのところ、中国香港株が急激に上昇しています。私の保有銘柄の中でもPERが30倍を超えるものが増えてきたため、「さすがに割高だ」と思ったものについては、私も、1ヶ月程度前から、少しずつ香港株を売却しはじめています。この売却により得た資金は当初、香港H株の相対的な低PER銘柄に振り向けようかと思っていましたが、直近の暴騰を見て、「さすがにこれから参戦するのはまずいだろう」と思い、いったん、この資金は他国に振り向けることに致しました。言ってみれば、ポートフォリオ全体に占める中国株資産額比率を想定値にコントロールするための「リバランス」です。

  ただ、海外ETFを購入するために、当初米ドルに移行しようと思っていた資金の行き先は、日本円にすることにしました。最近の新興株指数の下落ぶりを見て、いよいよ中小型株が「買い時なのではないか」と強く思うようになったためです。(こういう「感情バイアス」に左右されているうちは、「アセット・アロケーション」なぞ無理なのかもしれません。)

  今までウォッチしてきた銘柄リストの中から、資産額の裏づけがあり、業績見通しの悪くない中小型バリュー株を中心に、今週、来週あたり、新規銘柄をいくつか購入したいと思っています。

  現在のところ、私は、株式投資というカテゴリーでの国際分散投資は実践できても、REITや債券は、購入しておりません。これらの金融商品は、株式との相関が低く、分散投資の効果があることが理論的に証明されていることは、頭では十分過ぎるほど理解しているのですが、「人間組織の協業による新たな付加価値の創出」があまりなさそうな債券、REITという商品そのものが、どうしても好きになれないのです。

 「好き」とか「嫌い」とか「退屈な投資は嫌だ」とか言っているから、「セオリー通りの守りの投資」ができないのでしょうね。まあ、これは、考え方の問題なので、もうしばらく曲げるつもりはありませんが、致命的な運用成績になった場合には、再考したいと思います。


06:07:00 | cpainvestor | | TrackBacks