June 12, 2007

人事評価の功罪



  今日は、職場でスタッフの人事評価シートを作成しました。いつもながら、この人事評価のシートは「どうもなあ」と思います。専門知識だったり、顧客とのコミュニケーション力だったり、若手への指導能力だったり、自己啓発の意識だったり、そういったものをバランス良く評価しようという趣旨はわかるのですが、どうも職場に「金太郎飴」を沢山量産したがっているような気がして自分のポリシーに合わないのです。

  特に難しいのは、誰が見ても、ずば抜けてできる人と、ずば抜けてだめな人は、どう評価しても点数が高くなったり、低くなったりすると思うのですが、真ん中の6割ぐらいは、このシートでは、えらく評価が難しいわけです。それでも、この「査定」の結果が次のボーナスに跳ね返るのかと思うと、適当にやるわけにはいかないので、それなりの点数付け、コメント付けをするわけですが、まったくもって難しいです。

  そんなとき、私は、お勉強系の専門知識以外であれば何でもいいので「とんがったもの」をもっているという人を高く評価する傾向があります。例えば、「プレゼンさせたらピカ一だ」とか、「合コンのセッティング能力は抜群らしい」とか、「とにかく文句を言わずに辛抱してよく働く」とかそういったことです。「専門がらみの制度に詳しい」というのは、私見ではありますが、えてして学者チックな方が多く、キャッシュ・インフローから遠いことが多いので、私はあまり評価しません。
 
  ただ、そういった私の評価に違和感を持つ組織人も多いらしく、「なぜ私が彼をそんなに高く評価しているのかわからない」的なことを上司から言われたことも何度かあります。

  私自身は、ここ数年「上司との面談」などというものをきちんと受けたことがありませんが(というか飲み会で適当に済ましていますが)、人によっては、この「上司との面談」で日々の不満をぶつけることと、組織内の他人の評価を聞くのが楽しみという方々も多いようです。そういったときのフィードバックのために人事評価シートが役立つということになるのでしょうが、なんだかあの評価シートが「人間の器をかえって小さくしてしまうのではないか」と私なぞは、思ってしまいます。
 
  企業の競争優位性の基本は、価格差別化を含めた、「差別化戦略の有効性」にあるわけですが、人間も全く同じではないかと思っています。私達のような専門職の世界でも、英語も会計も税務もわかるマルチな才能を持ったコミュニケーション能力の高い優秀な方はいらっしゃるわけです。そういった組織の中で、私のような凡人は、まともに彼らとはりあったら生き残れないわけで、どこか一点突破の「局地戦」にもちこんで、ニッチ分野で勝ち残るという「ランチェスター弱者の戦略」のような発想が欠かせないわけです。

  そういったことに早く気づいてもらうためにも「平均点の若者」には差別化を促すべく「とんがったところ」をできるだけ評価してあげて、自ら磨いてもらいたいのですが、わかってもらえているかどうか・・・。

  株式投資も共通するものがあるように思います。ビジネスモデルも抜群で、割安で、しかも将来性も有望なんて、そんな三拍子そろった銘柄はなかなかないわけで、どこかで折り合いをつけて、「良いところ」をより前向きに評価しなくてはいけないのだと思います。将来性は微妙かもしれませんが、ダイニチ工業(5951)なんか、石油ファンヒーターで突き抜けていて、しかも結構割安です(笑)。


 今日の格言 「麦わら帽子は冬に買え」

01:12:08 | cpainvestor | | TrackBacks