May 24, 2007

最強の決算書活用術

  

  日経マネー7月号において「最強の決算活用術」という特集を組まれています。その32頁に、私が4月にシェアーズさんで行ったセミナーのほんの一部分のエッセンスが記載されています。ご興味がある方は、ご覧頂ければと思います。

  正直言って、「マネー誌」というのは、ほとんど読まないので、今回の取材がきっかけで久しぶりに購入して読んでみました。全体的な印象として、「数年前にちらっと立ち読みした頃より、だいぶ内容が良くなっているのではないか」と思いました。(別に自分のセミナーの内容を取り上げて頂いたから、持ち上げているわけではありませんので、誤解のないようにお願い致します。)
 
  今月の日経マネーさんの特集も、前半部分は、「決算書活用」と「海外ETFへの投資」です。新興株が絶頂期の頃なら、こんな地味な企画は、絶対に通らなかったのではないかと思います。
  「決算書解説」は、業種業態ごとに決算書を読解するための留意事項や、コスト構造の固変分解による収益増加時の増益率の予測、そして私の担当する粉飾懸念銘柄に対する留意事項など、投資家向けの良心的なお勉強系の企画となっています。
  また、海外ETFへの投資も、その優位性の解説から、購入できる商品、それを取り扱う証券会社まで、親切に解説されており、決してスポンサー向けの提灯記事にはなっていません。
まあ、後半部分には、袋とじまでした「特選銘柄」がついているところは、昔と変わりませんが(笑)、ここは、ここは現状の読者に対するマーケティング戦略上、外せないのでしょう。


  ただ、これだけ、インターネットが発達してくると、新聞や雑誌の生き残りは、今後、ますます厳しくなっていくことになるのだと思います。

  投資の分野一つとっても、向上心のある個人投資家の皆様は、多くの書籍を読み、実際の投資経験を積む中で、独学でどんどんスキルを上げていくわけです。また、単なる売買報告ではなく、「なぜそういう銘柄を購入したのか」をビジネスモデルから解き明かすような、「質の高い知見」をWeb上で提供してくれるレベルの高い個人投資家さんも何人も現れています。

  このような時代だからこそ、有料の雑誌媒体が生き残るためには、(ネットにはない)深い知見と考察、希少性などがこれまで以上に求められるのだと思います。

  そういった意味では、今週の日経ビジネスさんの「スチールパートナーズ代表に対する独占インタビュー」などは、雑誌媒体ならではだと思いますし、こういう記事があると、一面的な内容ではあるにしても、「購入する価値のある情報だな」と思います。

  個人的には、投資・マネー系雑誌にも、単なる銘柄推奨ではなく、現場の取材を踏まえて、ビジネスモデルの分析により強くスポットを当てたものをどんどん増やしていってもらいたいと思っています。
(長期投資家が、暴落時に購入できるよう、事業資質の良い会社の「儲けのカラクリ」をどんどん紹介するというような発想です。)

  
  結果指標としての決算書分析だけではなく、要因指標となりうる「投資家的なビジネスモデルの分析手法」を習得し、加えて「一定程度の企業価値評価関連の知識」を学ぶことが、「負けにくい投資」をマスターするために、遠回りでいるようでいて、近道であるような気がする今日この頃です。

  
  雑誌媒体の更なる情報価値の向上に期待したいと思います。


P.S.

  個人投資家向けではありませんが、7月に日経ビジネススクールさんで、一般ビジネスマン向けに、「企業価値評価の基礎」のような研修の講師をすることを予定しています。「価値評価関連の書籍を読んでもピンと来ない」という方に、1日でDCF法の基礎的なエッセンスを体験型で学んで頂く内容です。理論株価も算出するわけで、投資家さんでも、お役に立つ内容ではあると思うので、この分野にご興味があってご都合がつく方はいらしてください。なお、本業関連であるため、直接のリンクは貼りませんので、日経ビジネススクールのサイトから「それらしきもの」を探してみてください(笑)。


01:03:29 | cpainvestor | | TrackBacks