June 06, 2006

村上さん、きっと疲れたんだろうな。

以下、日経新聞より抜粋
  投資ファンド「村上ファンド」によるニッポン放送株の不正取引疑惑で、東京地検特捜部は5日午後、ライブドアが同放送株を大量取得する方針を決定したと2004年11月に知ったうえで、公表前に同株約193万株を購入したとして、同ファンド代表、村上世彰容疑者(46)を証券取引法違反(インサイダー取引)容疑で逮捕した。

形成が逆転すると、マスコミはすぐにたたくので、今日は、私なりの見解を記述したい。

  村上氏ほどではないが、私も職業柄、インサイダー情報に触れてしまうことがある。(村上氏曰く、「聞いてしまった」というやつだ。)ただ、それを聞いても欲望をを抑制し、それ以上深く突っ込むことなく、黙って何もしないでいれば、決して捕まることはない。村上氏もクレバーな人なので、インサイダー取引には、細心の注意を払っていたと推測される。そういった村上さんがなぜ、倫理観を保てずに一線を超えてしまったのか・・・?、それはおそらく尋常ではない規模に成長したファンド運用のプレッシャーではないだろうか。
 大学入学時には既に株で億の資産を築いていたという村上氏の投資センスからすれば、おそらく、数百億円規模のファンドを運用していた頃は、市場の歪みを見つけて年利で20%程度の利回りをあげることは難しくなかったのかもしれない。
  ファンド資金も1,000億円を超えてくると、運用はそう簡単にはいかなくなってくる。自分が買えば株価は上昇するし、何かニュース(触媒となるもの)がないと当該銘柄の出来高が増えないため、市場で売るに売れなくなる。そのため利益を確定するためには、他の投資家に市場外で、ブロックで売らざるを得なくなる。そこで、自分の持株をどこかにはめこみたいという欲望は必ず出てくることとなる。
  ファンドの規模が膨れていくにしたがって、ファンド出資者のために20%超の利回りを確保するためのプレッシャーは日増しに大きくなっていく。そうした強烈な利回り達成プレッシャーのもとで、美味しいインサイダー情報を聞いてしまえば、つい自然と手が動いてしまうこともあるのではないだろうか。
  最後にあんなにすっきり白状したのも、このプレッシャーから早く開放されて、楽になりたかったのだと思う。手元(シンガポールのオフショア?)に人生をエンジョイして過ごすことができるだけのキャッシュは残っているだろうから、ここから裁判やって長期間人生を浪費するより、潔く認めて執行猶予を勝ち取ったほうが、残りの人生を楽しく生きることができるだろうと思ったのかもしれない。
  その意味で今回の事件は、ファンドに多額の資金を出資する投資家が起こしたのだといえなくもない。
  とにもかくにも、村上さんには「企業に株主価値向上を意識させる」という大義名分の普及に一定の功績はあったわけだから、しばらくゆっくり休んで下さいと言いたいところである。

  それにしても、司直はこの連鎖をどこまで繋げるつもりなのだろう。きっと戦々恐々としている方達はいっぱいいるんだろう。


Posted by cpainvestor at 00:40:24 | from category: c.投資雑感 | TrackBacks
Comments
No comments yet
:

:

Trackbacks