November 03, 2006

松坂選手のメジャー移籍・・・西武球団にとって最高のEXITか?

   
   11月1日、西武球団の松坂大輔投手が、入札制度によるメジャーリーグ移籍を表明しました。このニュースを見て、「日本の球団も大分投資センスが出てきたな」と思ったのは、私だけではないと思います。

   松坂投手は現在26歳、あと2年でFA権を手にすることができます。FA権を行使されてしまえば、球団には、一銭の収入もありません。「あと一年は日本で活躍して球団収入に貢献して欲しい」と超短期的に、球団にとってムシのいい残留を要望すれば、来年は逆に、「もう一年待てば、彼が安く手に入る」とメジャー球団から足元を見られ、入札価額は今期より下落する可能性が高いです。

   FA権の制度のからみには関係なく、松坂選手は、年齢的にもこれから黄金期を迎えることが予想され、それだけでも投資家(メジャー球団)からの期待度は最も高い時期であるといえます。
更に、今春にはWBCでMVP投手に輝き、メジャー球団への事前ロードショーは十分な状況にあります。これまで、大きな怪我もなく、実績も十分です。

   まさに、西武球団にとって、今期は松坂投手という投資案件のEXITのタイミングとしては、最高のタイミングにあるといえます。

    IPO当時から既に人気沸騰していた成長株が、運良く抽選に当たったことで、公募価格で大量に購入することができ、その成長株が、日本を代表する銘柄に成長してくれた上、最高の主幹事(代理人)のもとでニューヨーク上場を実現、上場時に最高値に近い値段で売り出しができそうだという状況でしょうか。

   野球選手という投資銘柄の価値は、ボラティリティが非常に高い上、その銘柄寿命もそれほど長くはありません。ましてやFA制度により一定期間を経ると強制的に投資額を大きく増加せざるを得なくなります。その意味で球団経営者には、投資ポートフォリオのマネジメント手法に似た発想が求められることも多いのだと思います。

   西武球団は3,000万ドル以上とも言われる移籍金収入が入ります。これを次にどういった選手に投資し、育成するか・・・。球団の銘柄発掘能力が問われます。ヤフー株を売却して、日本テレコム株でも買うようなことがなければいいのですが・・・。

   いずれにしても、日本のプロ野球界は完全にメジャーへの人材供給基地になった感がありますね。Tier1がメジャー、Tier2が日本の12球団という感じでしょうか。日本球界はやはり素直に現状を受け入れ、Tier2の戦略をとる時期にさしかかっているのでしょう。サッカーで言えば、セリエAの下位チームの戦略です。選手を発掘し、これを育て、高値でビッグクラブに売却することを一つのビジネスとして行うという発想です。どうしてもTier1と張り合いたいなら、外国人に広く門戸を開放して、日本球界もウィンブルドン化を進めるしかないかもしれません。

   
   野球選手を投資銘柄のように見立てて、「オークランドアスレチックス」というポートフォリオが非常に効率良く(低予算かつ高勝率で)運用されている様が面白く記述されている小説があります。マイケル・ルイス著「マネーボール」(ランダムハウス講談社)です。野球を良く知っているヒトはもちろん、よく知らないヒトにも非常に面白く読める、笑いあり、感動ありの痛快小説ですので、お読みになることをオススメします。私の昨年の一押し小説です。


<追伸>
   マネーボールについては、石坂さんからコメントをもらいました。石坂さんが非常にわかりやすく内容を解説されていますので石坂さんのサイトを参照ください。





Posted by cpainvestor at 00:27:01 | from category: c.投資雑感 | TrackBacks
Comments

石坂 俊:

 連続投稿すみません。

 「マネーボール」は小説だったのですか。実は過去にちょっとこれについて書いたことがあります。

http://www.geocities.co.jp/...

実話だったと思っていました。あるいは、実話に脚色をした小説でしょうか。

 やはりきちんと読まないとダメだなと思いましたので、古本ですけれど、早速サイトより注文させていただきました。
(November 03, 2006 12:02:31)

cpainvestor:

石坂様

 マネーボールは、登場人物も実名ですし、実際の記録と取材をもとに記述されているわけですから、「実話に基づく小説」というのが正確なところだと思います。

 コラム拝見しました。Tilsonが取り上げていたのですね。知りませんでした。

 せっかくですのでブログから石坂さんのコラムにリンクを飛ばしておきました。

今後ともよろしくお願いいたします。
(November 03, 2006 21:03:41)
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