December 04, 2006

情報の価値は受け手の能力に依存する


   最近、ショッキングな事実が二つありました。金融情報端末Bloombergと、記事検索の日経テレコン21のサービスが、職場のコスト削減運動の煽りで打ち切られたことです。

   理由は、いずれも「支払っているコストのわりに、利用実績が少ないから」だそうです。いずれのサービスともに、ヘビーユーザーであった私としては、これだけで、大組織にいるメリットが半減するほど衝撃的な事実でした。両サービスとも、クライアントに対するサービスを提供する際の重要な情報ソースでした。何でも検索できるインターネット時代だからこそ、逆に有料情報サービスは、調査時間の削減、効率化に大きな威力を発揮します。

   特に、金融情報端末Bloombergは、同業他社の財務情報を一気にスプレッドシートにダウンロードできたり、資本コストを計算する際に必要となるβ値をはじめとした特殊な財務データを入手できたりと、かなり重宝していたので、これがなくなる影響は、私にとってはかり知れないものがあります。確かに、思い出してみると、私の組織は、会計士がうじゃうじゃいる組織であるにも関わらず、利用者は、私を含めて、部門で数名だったと思います。だからこそ、好きな時間に思う存分実務で使って、使用方法をマスターすることができました。この手の情報端末は、研修などで学んでもなかなか使いこなすことができないので、使えるようになるまで時間がかかりますが、実務で使い込んで慣れてしまうと、これほど便利なものはないのです。それがあろうことかコスト削減の対象となるとは・・・・。先に、社内の無料自動販売機を廃止して欲しかったです。(泣)

   「情報の価値は受け手の能力に依存する」は、平九郎さんの名言ですが、今日は、改めてこの言葉を痛感させられました。沢山の価値ある有用な情報が、組織に所属しているだけで入ってくるような、そんな恵まれた環境にいたとしても、それを実感できるかどうかは、結局個々人の情報処理能力にかかっています。そのことに気がついていない人間が、まわりに多くいるような気がしてなりません。どうも大組織にいると、情報やノウハウ、ブランドの価値に鈍感になるようで、退職して「自分は何でもできる」と勘違いして、小組織に移ったり、独立開業したりしたときに、皆、初めてその重要性に気がつくようです。

   「情報、ノウハウ、経験」は、私がまだ、組織に留まっているメリットのかなり重要な部分を占めます。これが少しずつ失われていくのは、とても残念なことだと思っています。どこかでそれを割り切らなくてはならないときがくるのでしょうが。

   とりあえず、Bloomberg端末については、懇意にしているお客さんにでも使わせてもらうように頼もうかと思っています。職業専門家として、かなり恥ずかしい申し出ではありますが。


Posted by cpainvestor at 22:43:56 | from category: f.Opinion | TrackBacks
Comments

take:

はじめまして。たけと申します。

情報の価値はホント受け手によりますね。
僕も以前思うところを書きました。
http://take20.blog72.fc2.co...

右脳左脳占いのネタをお借りしました。
(December 10, 2006 18:15:07)

cpainvestor:

take様
ブログ見させてもらいました。また、訪問したいと思います。
(December 12, 2006 22:32:05)
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