December 21, 2006

勝ち残りましょ、銀座で。

 
   「この業界で生きていきたかったら、スーツ代と本代はけちるな。」という新人時代にお世話になった先輩会計士の教えで、スーツ代と本代だけは、なるべくけちらないようにしております。スーツは、私のような商売の人間にとっては、ユニフォームみたいなものなので、必要不可欠な消耗品として割り切り、毎年、夏、冬2着ずつぐらいは購入しています。(耐用期間を少しでも延ばすため、いつもパンツは2本です。)ここ数年は、専らここに通っておりますが、そこはしがない勤め人、せいぜいパターンオーダーが限界です。(ちなみに家での普段着はユニクロも愛用しているため、嫁からは「ギャップありすぎ、バランスが悪い・・・」と言われております。育ちが悪いので仕方ないです。)

   今日ご紹介する書籍、「勝ち残りましょ、銀座で。(下図)」は、銀座の老舗テーラー、「銀座テーラー」の女社長の老舗再建物語です。経営の経験などまったく無かった創業者の御曹司のお嫁さんが、その商才とバイタリティ、よき人に恵まれ、バブル崩壊で経営が傾いた老舗テーラーを見事再建しています。

   印象に残ったフレーズをいくつか引用します。

○ 「人間は洋服を着ることによって品格を表す」と義父はいつも言っておりました。医者が白衣を着ていないと医者に見えないのと同じで、ビジネスマンはスーツを着てきちんと品格を定めて、ビジネス相手に接する必要がある。つまりスーツは鎧である、と。
○ テーラーの経営を軌道に乗せるにあたり、何が苦しかったかといえば、すでに歴史と伝統を持つ会社を途中から新しく変えていくことの難しさを実感せざるを得なかったということです。ゼロから会社を立ち上げていれば、これほど大変な思いは、もしかしたらしなかったかもしれません。私がしばしばたとえて言うことですが、冷蔵庫の残り物で料理を作れと言われているようなものです。新たに食材を買ってきて作るほうが断然早い。ただ、私につきつけられた現実は、すでに冷蔵庫に食材が詰まっていました。老舗の再生では、それは避けることのできないものです。その難しさを覚悟した上で、改革を行う必要があるのです。

 
   この書籍は、徳間書店から出ているので、おそらくタイアップ出版ではないと思いますが、「銀座テーラー」の格好の広告宣伝媒体にもなっています。私もいつかここでオーダーメードスーツを作れるようになりたいと思いました。鰐淵社長いわく、「一度オーダーメードスーツに袖を通したら、再びつるしは着られなくなる。」そうです。レディースもあるようですから、男女問わず「スーツは戦闘服だ!」と思われる方は、ぜひ、オーダーメードに挑戦して、ご感想を頂ければと思います。
私自身はまず、「形」よりも「スーツが似合う中身」を磨くことが先のような気がしております。

   


Posted by cpainvestor at 01:27:06 | from category: k.書評 | TrackBacks
Comments

rita:

父は呉服・注文紳士服を商っていました。やはり、一度父に作ってもらうと麻薬のように続けたくなるんだそうで、確かに顧客リストはリピーターばかり。
販売した服、サービスの質がよく継続される、今にして思えばこの部分に関してはGoodCycleのビジネスモデルかもしれませんね。
(December 22, 2006 12:32:45)

cpainvestor:

rita様

そのようなリピーターだけでビジネスが成立するまでもっていくのが、実際には、大変なんですよね。

 そういう意味では、「とれるところからとれるうちに根こそぎ頂く」という狩猟民族的な発想よりも、「相手から一度に利益を取りすぎてはいけない」という農耕民族的な発想の方がやはり私は好きです。
(December 28, 2006 00:15:32)

rita:

はい、大変でした。
田舎でも出向いていけば、洋服も呉服も扱うということで結構重宝されて、家族のイベントにはうちで作る習慣?はあったと思うのですが、徐々に顧客は高齢化し、お客様と共に父も年をとり、訪問が億劫に!!さらに郊外型大手紳士服店でもセミオーダーができ、お客さまの次の世代まではなかなか繋がりにくくなるなど。。。(次の世代は都会へ出てしまうし。)
なので、リピーターだけではビジネスは成立しにくいと思いました。

農耕民族的な?S○NYタイマーみたいな!?
(December 29, 2006 00:31:29)
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