January 26, 2007

「仕事」と「時間」という報酬(1)



   最近、周りは転職がブームです。JOBマーケットが非常にHOTだということもあるのでしょう。「すみません、個人的にお話があるのですが・・・」と後輩から言われると、だいたい転職の話なのでビクッとします。行った先の環境がハッピーであるかどうかは別として、大半の若い人間の給料は上がるようで、少しうらやましい気もしますし、彼らに留まる気がない以上、私はできる限り新しいチャレンジを応援してあげたいとも思っています。

   その際、後輩から必ず聞かれるのは、「なぜ、あなたは独立、もしくは転職をしないのですか?」という話です。当然、私も決断すべきときはいずれ来ると思っていますが、大抵の場合、「自分はまだ今の環境が恵まれていると方だと思っているし、この組織でもまだ学べることがあると思っているから。」と答えます。

 
   話は、5年前に遡ります。

   某新興市場の上場審査部から元の職場に戻ってきた時、私のスケジュールがぽっかり開いているわけですから、どんな仕事が飛んできても断れない状況にありましたし、実際、日系、外資系問わず、どんな仕事でも引き受けました。当然、オイシイ仕事は他の人が放しませんので、中身は「推して知るべし」です。
   ただ、このままでは、出向前の奴隷労働に逆戻りとなってしまうと思い、状況を打開する方法を自分なりに考えました。その結果、「人から良いお客さんを譲ってもらえない以上、営業して新規顧客をつかむしかない!」という結論に至りました。我々の業界は、基本的に受身の人間が多く、営業を嫌う方も多いですから、「営業をしたい」と手を挙げるだけで差別化できます。(笑)ただ、通常、営業は上の方のクラスのエライ先生がするもので、入社4年程度の若造がすることではないという雰囲気でした。

   ただ、私には出向先で身につけた上場審査の知識と経験がありました。(というか、同じく4年生がやっているような証券取引法に基づく監査の仕事の経験がほとんどなかっただけですが・・・)この知識と経験を使って、これから株式上場を目指しているようなベンチャー企業のお客さんを開拓できないかと思ったわけです。まずは、営業が得意な上司についてまわることからはじめ、ベンチャーキャピタル(VC)や、金融機関の担当者を紹介してもらいました。株式上場を志向する会社の情報は、多くの場合、VCや金融機関に情報が集まりますので、そこにアプローチをかけて紹介してもらう方が、直接ベンチャー企業にあたるよりも効率が良いわけです。最初は「用もないのにVCや金融機関にお邪魔する」ということが苦痛だと思うときもありましたが、単なるノミュニケーションネットワークではなく、「定例勉強会をやりましょう」ですとか、「税務・会計・上場関係のことでわからないことがあったら、いつでも電話してください」ですとか、「こんな書籍を今度弊社が出版したので持っていきます」などとコツコツやっていると、1年ぐらい経つと、ポツポツと案件を紹介してくれるようになりました。

(つづく)


Posted by cpainvestor at 00:46:03 | from category: g.その他ビジネスの話題 | TrackBacks
Comments

rita:

「企業を出るかどうか迷うとき考えたのは、企業に所属していると得られるメリット(インフラであったり、ブランドであったり)を捨てられるかどうか」だったと、たまたま一昨日会ったコンサルタント氏も言ってました。cpainvestorさんと同じだな〜と思って聞いていました。
彼は次は個人ではなくまた別の会社に行くようです。
(February 03, 2007 10:03:04)

cpainvestor:

rita様

 ご訪問ありがとうございます。
情報、ノウハウ、ブランド、インフラ・・・組織にいることのメリットはやはり大きいです。

 ただ、それでも安定した環境からあえて飛び出して、従業員も雇って立派に生き抜いている人を見ると、本当にそれだけで尊敬します。誰もができることではないと思いますが。
(February 06, 2007 23:47:46)
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