Intelligent-investor.net http://blog.intelligent-investor.net/ (ご注意) 投資銘柄に関する情報を記載することがありますが、投資は自己責任でお願い致します。また、私の職業上知り得た個別企業情報につきましては、一切記載していないことをあらかじめお断りしておきます。 ja-jp 2024-04-27T20:44:28+09:00 ブログ引越し http://blog.intelligent-investor.net//index.php?itemid=110741 続きのエントリーは、cpainvestor.comでお楽しみ下さい。  こちらのブログは、非常にアクセス環境が悪いため、今後は、過去ログ専用としたいと思います。新しいエントリーは、上記リンク先にてお楽しみ下さい。    2007-12-09T06:20:43+09:00 芸人・タレントの生き残り術とビジネスモデル http://blog.intelligent-investor.net//index.php?itemid=110555     大型プロジェクト終了と共に気が抜けたのか、大風邪をひきました。木曜・金曜とほとんど起き上がれず、48時間中40時間ぐらいは眠っていたのではないかと思います。明らかにOverworkで、風邪をひくのは自業自得、家族からもせっかくの休日がつぶれ大ブーイングで戦力外通告を受けました。あの仕事で体を壊されたのかと思うと腹が立つというか情けないというか・・・。  昨日あたりから、ようやく起き上がれるようになり、食事時や目覚めた深夜に何とはなしにテレビを見ていると、多いですね・・・お笑い番組。「第○次お笑いブーム」だか知りませんが、見たこともない若手芸人が沢山出演してネタを披露している番組が、そこいら中のテレビ局でやっていますね。何でも今年の一番人気は「でも、そんなの関係ねえ!」という芸人らしいですね。これもつい先日、妻から教えてもらいました。確かに、彼の海パン姿にはインパクトがあって面白いですね。そう言えば、去年は、同じく筋肉質の芸人がちょっと怪しい衣装で手を掲げて「フォー!」とか叫んでいたと思うのですが、彼はもういなくなったのでしょうか。芸人・タレントの業界も競争が激しく、あっという間に消えていく人が多いですね。 メジャーデビューのきっかけはどうあれ、芸人・タレントで長く芸能界で生き残っている人を見ると、いくつかのパターンに類型化できるような気がしたので、以下に代表的なパターンをビジネスモデルになぞらえて整理してみます。1. 王道系(ア) プラットフォーム主催型A) 芸人として売れっ子になり、その余勢を買って番組の司会業などに転身、売れっ子司会者となって、やがて、自分の名前=番組となるようなバラエティ番組そのものを主催するのに近い形となって、あるときは若手芸人・あるときは素人などを突っ込むなり、合いの手即興ギャグなどを連発するなどして番組を盛り上げ、視聴率を確保するタイプです。たけし、さんま、タモリ、紳助など、巨額報酬を得ている芸人のほとんどはこのタイプに分類されます。B) これは、企業で言うところのプラットフォームビジネスに近く、証券市場の胴元である東京証券取引所、家庭用ゲーム市場の胴元である任天堂などのビジネスモデルに似ています。C) このタイプは自ら主催するマーケット(番組)が長期に渡って盛り上がれば盛り上がるほど、長く大きく儲けることができるので、多くの芸人 .. 2007-12-04T00:10:14+09:00 長期M&Aプロジェクト終了 http://blog.intelligent-investor.net//index.php?itemid=110409     途中、1週間の御殿場出張を挟みながら、1ヵ月半の長きに渡って振り回されてきたM&Aプロジェクトがようやく終了しました。  先月、当月と残業時間は150時間をゆうに超え、気力、体力共に、極限まで追い詰められました。プロ投資家の皆さんとのタフな交渉は、何度やっても骨が折れますし、限られたプレゼン時間でいかに気の利いた知見が出せるか、毎回毎回のミーティングが、神経を研ぎ澄まして臨まないとやり込められるので、終わるたびにどっと疲れました。  買収ターゲット企業への厳しいアクセス制限、限定開示された資料、厳しい時間の制約、こういった条件の中から、いかにして、プロ投資家の皆さんに満足されるアウトプットを出せるか、まさに「実務家としての総合力」が試されることを実感する毎日でした。    これだけ、厳しい条件下で仕事をしたのは、久しぶりでした。スタッフに惜しみなくノウハウを伝え、彼らを鍛えながらプロジェクトを進めるのは、本当にしんどいですが、この若手スタッフが「勉強になりました。また使ってください」と言ってくれたことと、プロ投資家さんから大きなクレームもなく終わったことで、少しほっとしています。  それにしても、最近は、プロ投資家さんの買収ターゲット企業の質の悪化と値段の高騰が進んでいることを肌で実感します。M&Aブームもいよいよフィナーレを迎える時期がやってきたのかもしれないと思う今日この頃です。さあ、この週末は、家族サービスに邁進しなければ・・・でも、睡眠はとらないと。  ここ2週間程度、ほとんど相場を見ていませんでしたが、Indexはだいぶ下がったようですね。このような時期だからこそ、少し時間ができたら、新規割安銘柄の発掘調査も行っていきたいと思っています。 ご意見、ご感想は、cpainvestor.comにお願い致します。 .. 2007-11-29T19:10:48+09:00 テイクアンドギブ・ニーズの赤字転落に思う http://blog.intelligent-investor.net//index.php?itemid=110208     破竹の勢いで成長してきた邸宅風ウェディングのテイクアンドギブ・ニーズ(T&G社:4331)が2008年3月期業績予想の下方修正を発表しました。上場以来、初の赤字転落となるということです。 これまで、体育会系名物社長の下で、「気合と根性」、「感動挙式」で成長してきたT&G社ですが、ついに壁にぶち当たったようです。 業績大幅下方修正の理由として、T&G社は、以下のような理由を挙げています。? 集客力の減少による低下による受注数の減少(ア) 規模拡大を最優先したことによる個店の体制作りの遅延に伴う集客力の低下(イ) 地元密着のメディア対策が不十分であったことによる訴求力不足に伴う集客力の減少? 成約率の低下による受注数の減少(ア) 営業推進がマニュアル化したことによるプロデュース力の低下に伴う成約率低下(イ) プロデュース力を重視する営業方針の転換が円滑に進まなかったことによる現場の混乱に伴う成約率の低下  結婚式場のビジネスは、いわゆるハコの稼働率を最大限に押し上げることで稼ぐ典型的な稼働率ビジネスです。言い換えれば、ホテルや航空機と同じく固定費が重く変動費の軽いビジネスですから、施設が適正価格でフル回転(高稼働)することで、売上が固定費を回収する水準(損益分岐点)を上回ると大きく利益が出ますが、思ったような稼働率を確保できず、売上が損益分岐点を下回るようになってくると、とたんに大きな損失が出るというハイリスク・ハイリターン型の収益構造を持つビジネスの典型であると言えます。  その意味で、利益のトリガーは、低コストオペレーションではなく、適正価格で、目標とする施設稼働率を達成し、目標売上を確保できるかどうかにかかっています。ここで、結婚式場の売上高をもう少し要因別に分解すると、以下のような式が成立するはずです。結婚式場一店舗あたり売上高=客単価×受注客数=客単価×下見客数×成約率  今回のT&G社の発表を見ると、売上が著しく減少した理由は、下見客数の減少と成約率の低下が同時進行的に発生したことにより、受注客数が大幅に減少したことにあるようです。  下見客数の増減に影響するトリガーとは何でしょうか。これはおそらく、広告宣伝費の金額とその使い方となるでしょう。結婚式場というビジネスの最大の特徴は、顧客のリピートが全く見込めないということにあります。このため、広告宣伝 .. 2007-11-24T02:23:32+09:00 ミラーサイト設置 http://blog.intelligent-investor.net//index.php?itemid=110000   「最近ブログにアクセスがしにくい」という多くの皆様の苦情に対応し、ミラーサイトを下記に設置することとなりました。名付けて、cpainvestor.comです。 読者の皆様へ 一応、しばらくはこちらを本家として、できる限り同日に記事をアップする予定ですが、年明け頃をメドにこちらの更新はやめて、あちらを本家として更新していきたいと思っていますので、お気に入り登録をご変更頂ければ幸いです。コメント等もできるだけcpainvestor.comの方にお願いできればと思います。   リンクをしてくださっている方へ 将来的にはcpainvestor.comへコラム等を集約する予定ですので、お手数ですが、リンク先、リンク名を変更して頂ければ幸いです。 私自身もこれで変なフラストレーションからは開放されそうです。 今後も、できる限り読者の皆さんのお役に立てる内容を書き続けていきたいと思っています。cpainvestor.comをどうぞよろしくお願い致します。 2007-11-18T17:44:51+09:00 御殿場にて http://blog.intelligent-investor.net//index.php?itemid=109954   今週は、ある有名メーカーさんの企業研修のお仕事で、このお客様の御殿場にある研修センターに4日間ほど滞在しました。  久しぶりに東京を離れ、透き通った空気と紅葉、美しく雄大な富士山を見て、気分的にリフレッシュできました。毎年、1年前から日程を決めて下さって、私にこういう機会を与えて下さる主催者と受講者の皆さんに感謝しなくてはならないと改めて思いました。  それにしても4日間は長く、真剣勝負でしゃべりにしゃべり通して非常に疲れましたが、最後に受講者の皆さんの感謝の言葉を頂くと、「どんなにしんどくてもやめるにやめれない仕事だなあ」とつくづく思いました。入社数年の若者エンジニアから、受ける刺激も大きく、私もまだまだ修行が足りないと思うことが多々あります。   いつか、私の研修を受講して頂いた皆さんの中から、この会社の社長さんが誕生することになったら、楽しいだろうなあと思う今日この頃です。 2007-11-16T23:37:20+09:00 「エキナカビジネス」に見る鉄道会社のポテンシャル http://blog.intelligent-investor.net//index.php?itemid=109609   以下、11月6日付、日経新聞朝刊より抜粋です。  セブンイレブン、売上高で首位明け渡す・1店舗日販 2007-11-07T00:40:58+09:00 利益の質 http://blog.intelligent-investor.net//index.php?itemid=109578     角山さんのコラムで紹介のあった 勝間和代著「決算書の暗号を解け!」(下図)をさらっと読みました。  第一印象としては、「私がシェアーズさんのセミナーでお話した内容とかなり被っているなあ、私がこのネタで本を書くチャンスは完全に消えたなあ」というものでした(笑)。まあ、私がセミナーで解説したような内容は、監査経験のある会計士の共通認識でもある内容なので、当たり前と言えば当たり前なのですが・・・。  書籍のターゲットとしている読者の都合上、決算書の説明から始めているので、やや総花的で、せっかくの個々の論点が薄くなってしまっている印象はありますが、「会計上の利益がいかに相対的なものであるか」、「PL、BS、CFの3次元で決算書を見ることの重要性」などが 説かれていて、「利益の額ではなく質にこだわる」というこの著書の根底にある考え方は、私の発想ともとても似ており共感を覚えます。(経験豊富な業界の大先輩に向かって私と似ているというのは、失礼ですね。お詫びしたいと思います。)  今まで、個々の粉飾手法などを解説する書籍はあっても、これを決算書の見方から体系的にまとめたものはなかったので、その意味では決算書分析に新しい付加価値を提供した良書だと思います。著者の経営コンサルタントやアナリストとしての経験も生きているのではないかと思います。やや難しい内容も含まれていますが、ある程度決算書が読みこなせる中級者には、良い内容だと思います。  仕事柄、多くの決算書本を見る機会がありますし、セミナーなども実施することがありますが、どうもアナリストや銀行マン、大学教授などが書いた書籍は、初心者には良いにしても、中級者以上向けとしてはどうもしっくりいかないと感じることがあります。「それはなぜなのだろう?」といつも思っていたのですが、やはり、「彼らが決算書を見ることには長けていても、それがどのような背景の下で作られるか、そのプロセスが肌身の実感としてよくわかっていないからだ!」という結論に至りました。   ここで言う「決算書が作られるプロセス」とは、単に「連結会計を含めた上級簿記を知っている」ということだけではなく、「実務的にどのような状況で企業側が決算を組んでいるか」ということを含みます。業績予想を達成するためのプレッシャー、経営者の代替わりを狙った損出し、営業利益をできる限りよく見せよう .. 2007-11-06T00:32:55+09:00 いかにして、「コスト+マークアップ」の価格設定から抜け出すか http://blog.intelligent-investor.net//index.php?itemid=109340     労働集約的なサービス業において、自分も顧客も満足できる「良い仕事」をできる限りしていこうと思うと、やはりどのような顧客に焦点を絞り、どのような価格設定を行うかということが、極めて重要なのだと思います。  昔、会計監査の仕事がメインだった頃、いつもお客様から、稼動日数見積×単価の見積書の提出を求められて、その日数を増やす、減らすでギリギリ交渉させられ、ほとほと嫌気がさした記憶があります。特にオーナー社長との属人的な信頼関係に基づく交渉ができない大企業ほど、組織対組織の交渉となり、「誰が来るか」ではなく、「何日来るか」でもめることになります。  差別化がほとんどできない会計監査サービスの交渉の経験を通じて、「コスト+マークアップ」の価格設定から抜け出さない限り、私達のような労働集約型サービス業は、決して走り続けることから解放され、一息つけることはないのだということを痛切に感じました。  もちろん、徹底したマニュアル化によって低賃金(若年)労働者を活用し、圧倒的なコスト競争力で勝負するという方法もあるにはありますが、それは、高度に「仕組み化」が進んだ大規模組織として取りうる選択肢であるでしょうし、この場合、現場で働く従業員としては、全く面白みのない単純作業系の仕事を強制されることとなり、少なくとも、私は耐えられません。(投資家や経営者として果実を獲得する側にいる場合には、仕事の内容そのものに、それほどの面白みを感じなくても、良いのかもしれませんが・・・)  自分のやりたい仕事をしながら、「より、チャレンジングな価格設定を顧客に受け入れてもらえるにはどうしたら良いのか?」を突き詰めて考えた場合、「差別化によるブランド価値の向上」と「徹底した顧客の選別」の二つのベクトルを推進するしかないように思うようになりました。  サービス業における「差別化によるブランド価値の向上」を考えた場合、サービスのクオリティと同じくらい重要なのは、やはり「最後は右脳系で攻める」ということなのだと思っています。顧客のかゆいところに手が届く、「感性」を訴求するサービスを提供し続け、顧客が競合他社や原価を意識しないように仕向けない限り、高単価は受け入れられないと思うからです。サービスで言えば、ここらあたりのホテルが、商品でいえば、ここの家電あたりがベンチマークになるのだと思います。(余談ですが、 .. 2007-10-31T19:08:00+09:00 ブランドと販路の重要性 http://blog.intelligent-investor.net//index.php?itemid=109189     日経ビジネス10月29日号に、カバン製造のエースが「サムソナイト」ブランドのライセンス販売企業から、自社ブランド「プロテカ(製品のみならず、リンク先のCMムービーもオススメです)」を有する企業に脱皮するまでの様子が特集されています。  この特集記事によれば、エース社は、1964年以来40年以上続いてきた米国サムソナイト社とのライセンス契約が、2002年初頭において、転換期を迎えることとなりました。サムソナイト社の戦略変更により「製品企画機能の全く持たない合弁企業のパートナー」か、「契約解消」かを迫られることになったのです。ここで、エース社が出した結論は、「契約解消」、「自社ブランド立ち上げ」という困難な道でした。  ライセンス契約当初は、エース社はサムソナイト社から、スーツケースなどの製造技術供与を受けていたものの、ここ最近は、製造技術は独自に磨きをかけ、更に独自のサムソナイト製品の企画機能も持っていたようです。ただ、サムソナイト社との契約終了年度である2004年時点においては、ライセンスブランドの売上が全社売上の8割以上あり、特にサムソナイト社のライセンス商品は、全社売上の3割を占める状況であったようです。  もともと日本で販売されるサムソナイト製品は全量、エース社の日本の工場で製造しており、製造技術、品質管理は抜群であったとはいえ、自社ブランド売上が2割に満たない状況で、「サムソナイト」という強力なブランドを失うことは、営業部門を中心に猛烈な反発があったようです。  そういった逆境を乗り越え、エース社は、2002年の後半より、練りに練った「脱サムソナイト」戦略を進めます。  2002年11月、トップの決断で自社ブランド開発に取り組み、イタリアの有名デザイナーと組むことで、斬新なデザインを特徴とするスーツケース「プロテカ」ブランドを立ち上げました。また、自社ブランド立ち上げと同時に、トップが率先垂範する計画的な営業攻勢で、全国の百貨店その他の有力販売チャネルを行脚し、自社製品へのスイッチを粘り強く説得しました。更に、小売店舗に派遣する販売スタッフへの教育を徹底して行い、「サムソナイトはありませんか」という顧客の質問に対して、ライセンス契約が終了したことを丁寧に伝え、スムーズに自社製品に誘導できるような練習を時間をかけて行ったようです。  その結果、200 .. 2007-10-28T01:43:08+09:00 「白い恋人」と「赤福」の共通点 http://blog.intelligent-investor.net//index.php?itemid=109033   伊勢名物「赤福」にも、製造日偽装、廃棄品の原料としての再利用等の事実が発覚し、三重県は食品衛生法に基づく「無期限の営業停止処分」を下したようです。先日の「白い恋人」に続き、定番土産の信頼がまた、突き崩されることになりました。いずれも商品も私も出張帰りによく購入していただけに、ショックです。  それにしても、この2社、とても共通点が多いことに気がつきます。  いずれも同族経営の菓子メーカーの老舗で(「白い恋人」の石屋製菓は1959年設立、「赤福」の株式会社赤福は1954年設立)、「白い恋人」は、発売してから30年、「赤福」に至っては、源流製品を発売してから300年の伝統があるようです。両社の売上規模も石屋製菓が90億程度、赤福が80億程度で、似通っています。また、製造日偽装は、石屋製菓が11年、赤福は30年などといわれており、不正の歴史まで長い点も共通しています。  そして最大の共通点は、地盤としている地域のどこの土産店にも置いてあった「白い恋人」と「赤福」への売上依存度が極めて高いことです。(「白い恋人」で売上の8割弱、「赤福」はそれ以上ではないかと、新聞記事には書いてありました。)やはりこれだけの全国的な知名度のある定番商品を持っていると、その製品の製造・販売に特化した方が効率的ですし、利益も出ます。経営者として、主力製品の拡販に特化したくなる気持ちはよくわかります。(流行の言葉で言う「選択と集中」でしょうか)   ただ、特定商品の製造・販売に特化すると、その商品の売れ行きが何らかの理由で悪くなった時の経営に与える影響は非常に大きくなりますし、何より事業活動が全て特定商品の需要動向に左右されるため、需要の季節変動性が大きい商品だったりすると、操業度の平準化がとても難しくなります。その結果、「作り貯め」みたいなことが横行し、今回の不正のようなことにつながったりするわけです。このように考えていくと、「特定製品への特化」という事業戦略を極限まで進めていった結果、今回のような不祥事は、「起こるべくして起こった」とも言えそうです。  特定製品、特定顧客への集中は、大きなリターンを生む可能性もありますが、それには大きなリスクが伴います。経営者も頭では十分にわかっているのでしょうが、こういう会社に限って、次の製品・事業がなかなか育てられなかったりもします。今回お尻に火が付い .. 2007-10-24T01:21:00+09:00 「失敗の本質」 http://blog.intelligent-investor.net//index.php?itemid=108925   野武士、一兵卒として生き残るために要求される能力と、指揮官として組織の生き残りを図るための決断や行動をするための能力は、全く異なるものであるような気がします。  下士官や兵隊がたとえ優秀であったとしても、重要な局面における組織のリーダーの意思決定に誤りが生じれば、大組織でも簡単に滅びます。業績不振や不祥事で滅んでいく組織体には、それぞれトリガーとなる事象はいくつかあるのでしょうが、「真の原因は何だったのか」と突き詰めて考えてみると、「過去の成功体験等に基づく発想の延長に固執しすぎて、新しい環境の変化に気がつかず、適合できなかった」ということがよく言われます。  私自身、組織の崩壊に直面して、最近、その崩壊の過程を記述した書籍を読みながら、その経緯を改めて「コールド・アイ」で振り返ってみると、そこに噴出している諸問題の多くが、かつての大日本帝国陸海軍の組織上の諸問題と言われていた事項とあまりに似通っていることに気づかされました。○意思決定にあたっての情報収集能力の軽視(諜報機関の軽視、レーダー技術の遅れなど)○過去の強烈な成功体験(日清・日露戦争の勝利)からくる、旧来の考え方(白兵銃剣主義、大艦巨砲主義)への固執と変化の見過ごし○楽観的な見通しばかり持ち、過去の失敗から一般解を抽出して徹底的に学ぼうとしない組織風土(短期決戦志向とそこから来る兵站の軽視など)○組織内セクショナリズムの浸透と硬直的な人事制度からくる極端なコミュニケーション不足(陸海軍の不和、制服組の完全年功序列体系など)○ダメージコントロール(犠牲を受けることを前提としてそれを最小限に抑える)発想の欠如  滅びる組織というのは、多かれ少なかれ、上記のような問題を抱えているのではないかと改めて思いました。なぜ、大日本帝国陸海軍を例に出したかというと、「歴史好き」というのもありますが、下記の書籍「失敗の本質〜日本軍の組織論的研究」を大学生の頃に読んだのを思い出したからです。  今回、改めて読み直してみたくなり、アマゾンで発注したのですが、入手した中公文庫版のものは、「2007年1月25日32刷発行」となっておりました。やはり、「一般人にもわかりやすい組織論・戦略論の名著」としてロングセラーとなっているようです。こういう書籍は、私も書棚に長く残しておきたいと、改めて思いました。P.S.  最近、仕事が猛烈 .. 2007-10-21T02:14:00+09:00 理と情 http://blog.intelligent-investor.net//index.php?itemid=108642     リサーチ系シンクタンクのいかにも理系のコンサルタントの話を聞いたり、お仕事でいわゆる有名ファンドのInvestorの方とお話をしたりすると、その場では「う〜ん、この人賢いなあ、切れるなあ」と思うことが多々あります。ただ、しばらくすると、何の話をしたか、まったく覚えていないことも多いのです。「なぜなのだろう?」と考えてみると、やはり、印象が薄いのだと思います。やはり、印象に残る話というのは、面白い視点とか、シャープな分析の視点があるだけではダメで、「なんかあの人、熱い人だったなあ。」とか、「考え方にとても共感を覚えるなあ」とか、そういった感情とセットになっていることが多いように思います。  組織の中で仕事をしていたりすると、こういう傾向はより顕著だと思います。「あの人、言っていることは筋道が立っていて正しいのだけど、なんかとっつきにくいんだよな」と、敬遠されている方がいる一方で、「あの人に言われると断れないんだよな」的な人望がある方もいたりするわけです。後者の方は、だいたいものすごく後輩の面倒見が良かったりするわけです。  結局、人間は、「理」だけでは、本当の意味で動けない(モチベーションを高く保った仕事はできない)のだと思います。チームとして良い仕事をするためには、「情」や「共感」が絶対に必要なのだと思います。    私は最近、ある巨大組織が音を立てて壊れていく様を間近で見たわけですが、「結局、誰に優秀な人間がついていくか」は、最後はリーダーの「人間力」、すなわち、その人が日頃からとっている行動や信条が、最も重要な要素であるということが、改めてよくわかりました。  「人間力」の差は、修羅場に立たされた時、顕著に現れます。「部下を置いて敵前逃亡」するリーダーは論外ですが、「決断ができない」「自分だけ生き残ればいい」的なリーダーも実に多いです。  こういった場面に若いうちに直面することができたことは、本当に自分の財産になったように思います。「自分がリーダーの立場に立った時には、絶対に後ろ指をさされるような行動だけはするまい。」心から、そう思う今日この頃です。P.S.  今回のKENさんのコラム「金持ち父さん、貧乏父さん」に私はとても共感を覚えます。皆様もぜひお読み下さい。 .. 2007-10-13T21:14:41+09:00 文系と理系 http://blog.intelligent-investor.net//index.php?itemid=108545      早川さんが、面白いコラムを書いています。理系の投資家は、データから導き出せるFactから何かを読み取ろうとし、文系の投資家は、歴史に詳しく、その教訓から何かを読み取ろうとする傾向があるという指摘です。なんとなく、頷けるような気がしました。私、歴史モノ、大好きですし。(和歌山に出張に行った時など、すぐにここは、紀伊徳川家、五十五万石のお膝元だななどと考えてしまいますこういうHPで調べるの、結構好きです)  会計士というと、とかく「数字に強い」というイメージが世間一般にはあるようですが、これは大変な誤解だと思います。我々の業界は圧倒的に文系の人間が多く、「数字に強いのではなく、単なる簿記オタク」に近い方がずっと多いです。  この「簿記オタク」の方々は、会計や税法など、まずきっちりとしたルール(スタンダード)があって、それと現状がどれだけ乖離しているか、こういった比較分析は大得意です。ただ、あらかじめ正解がまったく見えない状態で、なんかバラバラの事実(特に定量データ)がたくさんあって、それを整理して、仮説を立てて、その検証を繰り返し、ロジックを構築して結論を導くといった作業は、からっきしダメという人間が圧倒的に多いのです。つまり本当の意味で数値データを活用するということが不得手なのです。この傾向は特に、私立文系、民法受験組の会計士に多いような気がします。(私が受験していた頃、会計士受験の選択科目は、経済学、民法、経営学の中から2科目を選ぶ必要があったのですが、数学アレルギーがひどい方は、民法・経営学を選択していました。)つまり、ルールがかっちり決まった会計監査や税務、どこかの会社のノウハウをパクッてそのまま横展開するコンサルティングサービスなどは得意なのですが、「今まで経験したことのない業態の事業構造を分析する」とか、「真の経営課題を見つけ出す」とかいった仕事になったとたんに、思考停止に陥る方が多いです。  必ずしも文系・理系のせいだけではないのだと思うのですが、「来た玉を打つ」ことが必要なオーダーメードのコンサルティング業務を依頼された場合、こういうコチコチの監査部門出身の会計士を使うと、とても苦労します。きちんとデータを積み上げることなく、「他社がこうしているから、こうすべきだ」みたいなベンチマーク表をすぐに作ってくるのです。それを見るたびに、「ああやっちゃ .. 2007-10-11T00:59:59+09:00 ついに http://blog.intelligent-investor.net//index.php?itemid=108460   インデックス派の投資家の皆様には、既に周知の事実なのだとは思いますが、ついに楽天証券さんがやってくれましたね。「iシェアーズ S&P ヨーロッパ 350インデックス ファンド」の取扱い開始です。  過去のエントリーでも書きましたが、日本で購入できる「手数料の極めて安い欧州株のインデックスファンドの出現」を待望していた私としては、これほどうれしいことはありません。  欧州経済は何と言っても、世界経済の重要な一角を占めています。特にEUの東欧拡大でその経済力は、確実に成長しています。分散投資先としては、BRICSよりも先に取り込むべき先であったのだと思いますが、今まで安いファンドが見当たらず、また、個別株の分析までも手が回らなかったため躊躇しておりました。欧州株は今、歴史的な高値圏にあるようで、買い時が悩ましいところですが、インデックスなので、あまり気にせずに、機械的に自分のポートフォリオに組み入れておこうと思います。 楽天証券さん、この勢いにのってEWAや、EWCの取扱いもお願い致します。 それから、ついでにUS個別株、ADR銘柄の更なる充実もお願いします。少なくとも、ウォーレン・バフェットが購入している銘柄は、全部購入できるようにして下さい(笑)。  海外に口座を開設しなくても、国内のインターネット証券で零細個人投資家が、世界中の手数料の安いインデックスファンドやETFが購入できるようになるのは、本当に喜ばしいことです。  個人投資家の皆さん、後は勉強と蓄財と、株式譲渡益課税の軽減税率の延長停止の反対運動に参加するだけです。間違っても先に郵便局や銀行に行って、何かつかまされて帰ってこないようにして下さい。   そういえばしばらく、欧州に行っていません。何かにかこつけて、しばらくぶりにどこかの国を訪問したいです。さすがに、もうバックパッカー&ユースホステルはきついような気もしますが、旅をするには、今頃はとてもいい時期なんだろうと思います。 .. 2007-10-09T00:01:00+09:00