May 25, 2006

一般投資家への極限までのリスク移転

 それにしても、最近のIPO銘柄、一般投資家へのリスク移転が激しすぎると思うのは私だけだろうか。直前期の売上が、3億そこそこしかないような会社A、や会社Bが上場している。いくら利益率は高いといえ、事業基盤が整っているとはとうてい言えない規模である。
当然大手の主幹事は引き受けないが、そんな銘柄でも上場させてくれる主幹事証券会社と市場があることが、そもそもすごい。さすが、「世界一株式公開がしやすい市場になった」と言われるだけのことはある。

  両社の上場を否定するわけでは決してないが、いずれも、子会社、関連会社なので、株主の意向により利益が操作される懸念は常にある。そういったリスクを投資家は本当に理解して購入しているのだろうか・・・。
  少なくとも、私はこんなマネーゲームに、参加する度胸もない。
次の不況でいったい何社のリビングデッド公開会社が出るのだろうか。


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May 23, 2006

利益の「質」を問う投資家でありたい

  以下、読売新聞記事より抜粋。

  大手金融グループの三菱UFJフィナンシャル・グループが22日発表した2006年3月期連結決算は、景気回復などを背景に、税引後利益が1兆1817億円(前期の旧2グループ合算は2161億円の赤字)となり、国内トップのトヨタ自動車(1兆3721億円)に迫る巨額の黒字を計上した。
貸し倒れに備えて積み立てた引当金のうち、6982億円(傘下2銀行合算)が、貸出先企業の業績回復などで不要になり、「戻り益」となったためだ。

  銀行の税引後利益の額が大きかったことを理由に、その金額規模をトヨタ自動車と比較して評価する。やはり一般紙はなかなかおしゃれな記事を書く。
両社の税引後利益の比率は、三菱UFJ:トヨタ=1:1.16
 
  国内の閉鎖的な金融市場にどっぷりとつかり、規制と低金利政策の追い風を受けて獲得した「1兆円」と、世界に名だたる「カイゼン」を武器に、血のにじむようなコスト削減を継続しつつ、積極的に海外市場に打って出て獲得した「1兆円」を同列に比較してよいものかどうか。少なくとも私は後者を積極的に評価する投資家でいたいと思う。
 
  06年5月23日の時価総額は、三菱UFJ 16,703,997百万円、トヨタ自動車21,876,585百万円となっている。
両者の時価総額の比率は、三菱UFJ:トヨタ=1:1.31

  マーケットもどちらかといえば、私の味方のようである。私はもっと差があると思っているが。


00:53:57 | cpainvestor | | TrackBacks

May 18, 2006

行儀の悪いコメント

以下、?GDH(Mothers3755)のディスクロージャー資料より抜粋

当期の売上高及び利益について、概ね当初の予想通り推移いたしましたが、一連の資本市場における混乱を鑑み、会計監査人と協議した結果、以下の通り売上高を保守的に計上することとなりました。
コンテンツファンドから受注したアニメ作品等の制作事業売上高の一部について、3月中に成果物を納品しておりましたが、ファンド組成に関する付随契約の一部の締結が翌期になっていることから、当該売上高を保守的に翌第1四半期の計上といたしました。また、これに伴い経常利益及び当期純利益を修正いたしました。
 以上の結果、上記のとおり修正を行うものであります。

きっと、会計監査人から決算間際になって急に「売上計上は認められない」と言われて、頭にきて出したコメントなのだろう。ただ、「資本市場の混乱」と会社の売上計上タイミングは本来関係ないはずである。
売上計上の際に満たすべき2要件を忘れてはならない。
? 企業外部の第三者への財又はサービスの提供
? 対価としての現金又は現金同等物の受領
 
  そもそも、自分が組成したコンテンツファンドに制作物を売るというビジネスモデル自体が、不動産ファンドの運営会社と一緒で、利益コンフリクトが生じる可能性が高く疑いをかけられやすい。(上記?を満たしているのか?)このため、売上計上に関しては、そのタイミング、金額とも、より慎重に検討されるべきである。
  投資家の立場としては、そもそもこのような構造的に利益コンフリクトが生じうるビジネスモデルには積極的に手を出す必要はないと思う。見た目のROAの良さにだまされてはいけない。
  リスクを加味しても本当に儲かる可能性が高いと判断するコンテンツ投資案件であれば、自己資金で投資するはずである。外部のファンド資金を利用とするということは、それなりの理由があるはずである。不動産流動化銘柄しかりである。


01:18:21 | cpainvestor | | TrackBacks

May 12, 2006

平安レイサービス(2344)の決算発表

 私の保有銘柄の一つ、冠婚葬祭業を主力とする平安レイサービスの決算発表(JASDAQ2344)があった。売上高9,018百万円(対前年比2.6%増)、経常利益1,463百万円(同13.8%増)、当期利益618百万円(同7.2%減)、営業CF1,343百万円(同5.7%増)と、すこぶる良くはないが、事前予想とほぼ同様の内容であるといえる。決算書をざっと見て、気がついた点は以下の通りである。
? 当期は、特別損失に計上されている452百万円が大きい。これは新しい会計基準が導入されたことに伴う一時的な費用なので来期は増益要因となる。
? 上記費用を補うために当初から想定されていたのか、もしくは業績が当初予想より下ぶれしたために、急遽実施したのかは不明だが、役員退職慰労引当金の辞退による戻入益150百万円が増益要因となっている。(創業経営者、さすがにIPOで儲けているだけあって立派である。
? セグメント情報によれば、冠婚事業の利益率の低下が激しく、堅調な葬祭事業がこれをカバーする形となっている。より利益率の高い葬祭事業の比率が高まったことで、営業利益率は改善している。(前期12.7%→当期14.5%)
? 税法上の同族会社であり、留保金課税がかかっている。これはもう少し配当するなり、同族持株比率を減らすなりして、ぜひとも解消して欲しい。
? 新規出店や葬祭業のフランチャイズビジネスを積極的に展開するとしているが、来期の業績予想が今期とほぼ横ばい程度であるのはやや不満が残る内容である。

 この銘柄の特徴はずばり、互助会会員の生前払込金である前払式特定取引前受金(15,492百万円)の性質を有利子負債と同様に見るかどうかにかかっている。
これが、実質的に返済義務のない将来のサービス提供のための前受金であると定義すると、有利子負債は実質的にゼロであり、資産サイドの価値ががぜん高まる。現金預金が4,499百万円、供託金が4,086百万円、土地(簿価ベース)が6,548百万円、投資有価証券1,692百万円、長期性預金600百万円、占めて17,425百万円である。これに毎期営業CFが1,300百万円程度安定的に創出するビジネスがある。
これに葬祭ビジネスが隠れた成長産業であることを考えると、現在の時価総額は12,159百万円は、いかにも割安だと思う。

それにしても低採算の結婚式場は早くやめて高採算の、葬儀サービスだけにしてもらえればと、常々思っている。


01:36:24 | cpainvestor | | TrackBacks

May 09, 2006

Buffettの新しい買い物

 しばらく貝のように動かなかったBuffettが、新しい買い物をしたらしい。
以下Berkshire HathawayのHPより抜粋。

OMAHA, Neb. & TEFEN, Israel--(BUSINESS WIRE)--May 5, 2006--Berkshire Hathaway Inc. (NYSE:BRK.A) (NYSE:BRK.B) and Iscar, Ltd. today announced that Berkshire Hathaway has agreed to acquire 80% of the Iscar Metalworking Companies (IMC) in a transaction that values IMC at US$5 billion.
The Iscar Metalworking Companies is a privately held group, with operations worldwide, and is an industry leader in the metal cutting tools business through its Iscar, TaeguTec, Ingersoll and other IMC group companies. Upon completion of the transaction, Berkshire will own 80% of the business and the Wertheimer family, IMC's current shareholders, will own the remaining 20%. The transaction remains subject to customary closing conditions, including regulatory approvals.

 さっそく、Iscar Metalworking Companies (IMC)なる会社を検索してみたが、Private companyなので、財務情報は開示しておらず、イスラエルの世界第二位の切削工具メーカーであることがわかっただけである。ただ、販売はWorldWideに行っているようで、98%はイスラエル国外での販売とのことである。Buffetが好みそうな、地味で堅実な事業内容の、高シェア企業であることは間違いないであろう。
 年に1度のオマハの会見では、積極的な買収を行っていく方針を表明したBuffet、今後の動向が注目される。
 何年か前、ペトロチャイナを提灯買いして儲けさせてもらっただけに、ぜひ提灯買いの機会がある上場株の買収を行ってもらいたいものである。
 どなたかIscar Metalworking Companiesの詳細情報をつかんだら、トラックバックして欲しい。


00:42:47 | cpainvestor | | TrackBacks