June 09, 2007

東京ディズニーリゾート

  
  今週は、一つプロジェクトの開始が数日先へずれたため、ここぞとばかりの家族サービスを敢行すべく、有給休暇をとって、日曜から2泊3日で東京ディズニーランド(TDL)東京ディズニーシー(TDS)に行って来ました。私も家内もディズニーには全く興味がなかったため、一度も二人で来たことなどありませんでした。そんな私達が「いよいよ子供を連れて遊びに行く場所になったか・・・」と思うと少し感慨深いものがありました。TDLは来年で開園25周年となるそうです。

  私自身、実に十数年ぶりのTDLで、しかもTDSは初めて来たため、いろいろと気がついたことがありました。純粋に子供と楽しめばいいのに、すぐに投資やビジネスの観点から見てしまうのは、「職業病」かもしれません。
以下、五月雨式ではありますが、気がついたことを列挙します。

○ ディズニーキャラクターそのものが多様化している
  私が知っていたディズニーキャラクターは、ミッキー、ミニー、ドナルド、グーフィーあたりまでですが、変な双子のリスや、くまのプーさんもいました。くまのプーさんはいつから、ディズニーキャラクターになったのでしょうか?(誰か教えてください!)それから、ディズニー映画のキャラクター(美女と野獣や、変なロボットなど)も多数、パレードに出演しておりました。やはりウォルト・ディズニー本社のキャラクタービジネスの展開を考えた場合、ネズミだけでは苦しいということでしょうか。第二、第三のミッキーを育てる戦略なのかもしれません。

○ 多様な年齢層の顧客獲得を狙った事業展開にシフトしている 
  キャラクターの多様化が、ディズニー本社の戦略だとすれば、これはむしろこのテーマパークを運営するオリエンタルランドの戦略なのだと思いますが、特にTDSは、家族連れではなく、完全に、若いカップルやそれより上の年齢層を狙った全く別のテーマパークであり、「ディズニー」の影はものすごく薄くなっていました。
  なぜ、浦安でベネチアにあるはずのゴンドラに乗り、「Chao!」と叫ばなくてはならないのか、キャストもゲストもお互いに苦しそうでしたが、ミニベネチアだったり、ミニアラビアンナイトだったりして、なんだか「長崎ハウステンボス」のコンセプトに近い発想のような気がしました。首都圏という巨大な潜在顧客層を持ち、主としてファミリー層と若者をターゲットに成長してきたTDLでしたが、顧客層の高齢化、ニーズの多様化に対応して、TDSでは新たな顧客層を取り込もうとする経営努力が見てとれました。
  ただ、TDSはどうもこの「ハード」部分にかなり頼っている印象を受けました。団塊ジュニアは、海外にも出かけていますし、私も含めて本物のベネチアも見ている方も多いと思われます。ターゲットとしている年齢層が高い分、「ソフト」をもっともっと充実させないと、リピーターは得られず、TDSは思った投資効果を上げられないのではないかと思いました。

○ そうはいっても、TDLのソフトは国内No.1 
  ダンサーを含めたキャストの満面の笑顔と接客、沢山のショー、スムーズなオペレーション、15分おきに行われる掃除、やはりこのあたりは、さすがにTDLは年季が入っています。まだまだ、USJや、旭山動物園などの追随は許さないレベルにありそうです。久しぶりに昔読んだCSの基本書、「ディズニー7つの法則(下図)」を思い出しました。やはり、リピーターをどれだけ増やせるかは、「そこで味わえる雰囲気」というソフトが握っている気がします。
      


  テーマパーク事業は、絶え間のない設備投資と維持管理、ソフト充実のための人材投資が欠かせない典型的な固定費型産業です。ここ数年のオリエンタルランドの業績を見ると、売上は伸びているものの、営業利益は漸減傾向にあります。(2007年3月期は盛り返したようですが、来期予想は再び減益予想です。)これは、TDS、イクスピアリと立て続けに実施してきた設備投資が思ったほどの増収効果を生んでいないことに起因します。
  最近の入場料値上げを経て、TDL、TDS入場者の平均客単価は既に9,000円超で推移していることから、一部の高所得者層を除き、これ以上、客単価の上乗せを行うのは、なかなか厳しいようにも思います。TDLで子供のためのお土産を買わされて、更にイクスピアリで食事をしろと言われても、私なら考えてしまいます。
  だとすると、オリエンタルランドは、やはり「いかにして客数を増やすか」もっと言うと、いかにして新規顧客獲得率(主としてアジア諸国の高所得者層でしょうか)とリピート率を再度向上させるかが、最大の経営課題であるように思われます。前者の課題に対しては、アジア全体に向けたマーケティングプロモーションをこれまで以上に知恵とカネを使って積極的に行っていかなくてはならないのでしょうし、後者の課題に対しては、特にヘビーユーザーを獲得するための「ソフト」の更なる充実が必要不可欠であると思われます。


  子供が「ディズニー洗脳」に侵されたのは、やや気がかりではありますが、久しぶりに家族で楽しい3日間を過ごすことができました。オリエンタルランドさんに感謝をすると共に、今後の客数増加のための「知恵の絞り方」に注目したいと思います。Valuation的には、高くて買えません。これは、優待プレミアムでしょうか。


02:04:26 | cpainvestor | | TrackBacks