May 03, 2006

亜細亜証券印刷(7893)の決算発表

 さすがに、上場企業のディスクロージャー支援の会社である。月内に本決算の発表を終えている点は、適時開示の観点からも立派である。

 決算も前期に引き続き好調である。売上高20,816百万円(前年比12%増)、経常利益4,199百万円(前期比30%増)、当期利益2,499百万円(前期比36%増)、営業CF2,736百万円(前期比8%減)と証券市場活況の影響をダイレクトに受けている形である。営業利益率が16.4%から19.0%まで3%弱もアップしているのは、経営の効率性の観点からは、特筆ものであろう。あまりメジャーな会社でなく、ニッチで参入障壁が比較的高い分野に経営資源を集中しているのが功を奏したのであろうか。売上200億円で経常利益を40億円も計上できる会社はそうそうないであろう。来期も証券市場の活況や商法改正が追い風(決算短信の受注状況を参照のこと)となって、業績は更に拡大する予測を会社は提示している。昨年来の株価上昇で既に株価に割安感はないと思うが、当初投資時から残った1/3のタダ株は継続保有をしてもいいかなと思う決算内容であった。
 商法改正に伴う株券印刷需要の消滅で、一時は事業リスクが高まると指摘するアナリストなどもいたが、決算数値情報の補完、開示を容易化する「エディッツサービス」の登録企業の順調な拡大、IRサイト構築コンサルティングサービスの拡大で株券などの証券印刷のへこみを十分リカバーできる企業になりつつあるとの印象を受けた。今年の営業利益率の上昇を見る限り、もはや「代替可能な印刷会社」ではなく、「なくてはならない適時開示支援会社」になりつつあるとの印象を受ける。

 懸念は、いかんせん証券市況(新株発行企業数、新規上場企業数)などに業績が左右されるので、証券市況の失速に伴う証取法関連の受注急減ぐらいであろうか。ただ、既上場企業の適時開示は続くわけで、エディッツサービスでがっちり顧客のデータを握っている以上、いきなり利益が1/3になるような状況が近い将来に来ることはないだろう。

 もともとは保有資産(キャッシュリッチ+含み益のある土地+投資有価証券)と利益率はそれほど高くはないが、安定した事業モデル(上場企業の継続開示資料の印刷受託というスイッチングコストの高いストック型ビジネス)に着目して投資した銘柄だった。(このブログの過去の銘柄分析を参照のこと)ただ、証券市況の活況を追い風に投資してから1年半で株価は2.5倍ぐらいになった。亜細亜証券様、ご馳走様。


Posted by cpainvestor at 01:34:41 | from category: h.銘柄分析 | TrackBacks
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