May 19, 2006

ダイオーズ(4653)の決算発表


保有銘柄のひとつ、オフィスコーヒーサービスのダイオーズ(東証2部4653)の決算が先週発表されていた。
売上高12,514百万円(対前年比10.0%増)、経常利益1,303百万円(同18.1%増)、当期利益820百万円(同10.0%減)、営業CF1,649百万円(同0.6%増)と、円安が大きな追い風となった部分はあるものの、当初に比べかなり上ブレした好決算となった。

決算書を見て気がついた点は以下の通り。
? 売上の伸び率(対前年比10.0%増)に対して、営業利益の伸び率(同13.5%増)が大きく上回ったことは、評価できる。高単価、高付加価値(ピュアウォータ事業などか)のサービスの比率が好影響を及ぼしていると考えられる。
? 地域別のセグメント情報を見る限り、日本、米国ともに好調であったことがわかるが、特に米国の売上、利益の伸びが大きく伸張している点は、今後の成長性を期待する意味で特に評価が高い。
? 米国売上の伸張は、米国西海岸地域の同業者の積極的な買収による効果が出ているのだろうが、投資CFの水準は営業CFの水準の範囲内で行われており、成長性を求めながらも堅実経営に徹している姿勢が見て取れる。
? 当期利益の減少は、主に繰延税金資産の金額が大幅に減少したことによるものである。これは過去のグループ企業の繰越欠損金に伴う繰延税金資産(203百万円)が当該会社の利益計上と共に消滅していることによるもので、会計テクニカルな要因であり、懸念事項ではない。むしろこの欠損金があったことで、前年度の税負担(15.4%)が低すぎたわけで、当期の税負担率(36.0%)のほうがむしろ正常である。

 日本のオフィスコーヒーサービス市場は約500億円程度だそうで、その半分を業界のガリバー企業、ユニマットライフ(7560)に握られている。ダイオーズは2番手で、マーケットシェアは約10%程度である。オフィスコーヒーサービスという差別化が難しい成熟市場において、業界1位が50%、2位が10%では、1位の絶対優位は、これまでの常識が覆すような技術革新(創造的破壊)でも起きない限りゆらぐことはないのが、マーケットシェアの常識である。その意味で、成長の活路を米国の特定地域の中小競合事業者の買収戦略に求めた点は評価できる。また、既存の販売チャネルを使って、ミネラルウォーターや、他のオフィス用品を販売することで顧客単価を増やし、収益を拡大しようとする戦略も目的にかなっているといえる。

 あくまで国内市場を前提に飲食事業などへの多角化を図るユニマットライフの戦略と、海外に同じサービスの水平展開を図ることで規模の経済を求めるダイオーズ、両社の競争戦略には目が離せなくなってきた。
 Valuation的には、ユニマットライフが予想PER24.26倍なのに対し、ダイオーズは11.2倍である。海外での成長をめざすダイオーズが断然割安であると見るのは、私だけだろうか。


Posted by cpainvestor at 00:05:38 | from category: h.銘柄分析 | TrackBacks
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