May 24, 2006

株式投資の未来?


久しぶりに骨太の投資本を読んだ。ジェレミー・シーゲル著「The Future for Investors(邦題:株式投資の未来)」(日経BP社)である。大著でややとっつきにくいかもしれないが、中長期投資を軸とする中級レベル以上の個人投資家が読むべき良書だと思った。

これまでの投資活動や多くバリュー投資関連書籍を読む中で、既に気づいていた内容が多いとは思うが、改めて過去の豊富なデータを並べて解説されると、下記メッセージは非常に重い。
? 株式の長期的リターンは、増益率そのものではなく、実際の増益率と投資家の期待との格差で決まる。
? 高率の安定配当を続ける銘柄への配当再投資は、下落相場のプロテクターとなり、上昇相場のアクセルとなる。


物語は、IBMとスタンダード・オイル(現在のエクソンモービル)の過去50年間のパフォーマンス比較から始まる。むろん、年々の利益成長率ではハイテク業界に属するIBM(10.94%)がエネルギー業界のスタンダードオイル(7.47%)を圧倒しているわけだが、トータルリターンでは、スタンダードオイル(14.42%)がIBM(13.83%)を逆転している。
このからくりは、IBMの株価が常に成長期待に比べ高すぎ、スタンダードオイルがその成長期待に比べ低すぎたこと、及び、スタンダードオイルの高い配当還元をそのままスタンダードオイル株への再投資にまわしたことに起因している。
事業セクターが有望で、そこに属する銘柄が成長しているからといって、当該銘柄への投資が必ずしも大きなリターンを生まないことを、いくつもの例をあげて多面的に説明している。
「最高の成績を示した銘柄が、目も当てられないほど低迷する業界に属している例がいくつもある。」

これから先の自分の投資戦略に大きな影響を与える一冊であった。





Posted by cpainvestor at 01:24:29 | from category: k.書評 | TrackBacks
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