October 02, 2006

反 省

  
  REFIGHT先生からのご指摘により、私もビズネット社について、再度よく調べてみることにしました。一応、財務の専門家のはしくれでありながら、リスク情報を158社スキャンニングしただけで、短絡的に記載してしまいました。反省しております。
REFIGHT先生のおっしゃるように、この会社、上場直前に塁損を解消し、上場で資金を調達してからは、実質無借金であり、確かに利益も出ています。

  最近の株価下落もあって、時価総額が30億と異常に低くなっています。一方で資金調達したばかりの上場直後で、かつ流動資金を必要とする卸売ビジネスであることもあって、20億以上のキャッシュをもっています。 この結果、来期予想のEV/EBITDA倍率も2倍強と激安となっています。この面からみると、ある程度の利益が出るのであれば、この銘柄は実は、いわゆる「資産バリュー株」に分類できるかもしれません。REFIGHT先生のおっしゃるように財務をある程度見てから書くべきでした。この事業モデルを前提に、今後もある程度の利益が出るのであれば、確かに、「ビジネスモデルが破綻しているかのような記載」は言い過ぎでした。この場で訂正致します。

  ただ、私が申し上げたかったのは、「上場適格性」という観点で、この銘柄には、苦言を呈したかったのです。プラスはガバナンスの効きにくい未上場会社です。そして既に、アスクルを切り出して上場させています。この上で、更に、グループから切り出したビズネット社も、グループ内競合のリスクが高いのに上場させるというのが、あまりにむごいと思ったのです。突き詰めれば「子会社上場の問題点」に行き着くのかもしれませんが、顧客がかなりの部分、グループ会社とかぶるでしょうから、必然的に事業調整がなされるのでしょう。これは、「上場会社としてどうなのかな?」という視点です。アスクルの時もそうでしたが、「まず、プラスが上場することが先でしょう」という論理です。
  実は、昨年のIPO会社でもう一つ、同じような状況の会社がありました。システムズ・デザイン(3766)という会社です。この会社は、いわゆるシステム構築の会社ですが、会計PKGソフトのPCA(9629)と同一オーナーの兄弟会社であり、両社の間にそれなりに取引もあります。これについても同様の印象を持ったのは言うまでもありません。いくらでも両社間で利益調整ができます。

  これまでのIPOの実務では、外から買収してきたというような経緯がある場合を除き、同一グループ内で、事業が競合する可能性が高いような会社が複数ある場合には、証券会社が説得し、合併させるなりして、コンフリクトをある程度解消させてから上場させるのが一般的でした。ただ、ここ数年は、証券会社の「良心」もだいぶ薄くなったようで、「開示すればOK」的なスタンスに変わってきたように思います。この点について、一般投資家保護の観点から、「自己責任とはいえ、むごい」と思ったわけです。(私の知る限り、このグループ内事業競合の激しさと競えるのは、かつてのコナミの上場子会社ぐらいでしょうか・・・)

  最後になりますが、REFIGHT先生、有意義なご指摘ありがとうございました。私のような者のブログをのぞいてくれていたことをうれしく思います。私もかつて、あなたの非常に有名なサイトで多くのことを勉強させて頂きました。僭越ながら、リンクさせていただくことに致しました。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

  読者の皆様からの有意義なコメント、今後もお待ちしております。


Posted by cpainvestor at 01:49:11 | from category: c.投資雑感 | TrackBacks
Comments

REFIGHT:

リンクしていただき光栄です。私もリンク
いたしました。

なお、11月から、公認会計士などの専門
家の方は、無料で専用サイトの読者に招待
したいと思っています。よろしければ、
ご利用ください。
(October 05, 2006 01:46:50)

まー坊:

たけ先生

僕はたけ先生のご意見に賛成です。
この会社は利益が出ても、株主に還元されない構図にあると思います。親会社(関連会社&関係者)が50%以上をの株を持っているわけですから、利益の分配も、親会社の意向でどうにでもなりますよね。

株主を大切にしない会社は、長期的にはダメだと思うんです。

僕が思うに、上場しなくてもいい企業(リオチェーンもそうですが・・・)、上場してはいけない企業が、平気で上場している社会ってやっぱり間違っていますよね・・・・
(October 06, 2006 00:26:33)

たけ先生:

私はcpainvestorさんのご指摘に賛成です。
定量スクリーニングは重要ですが、kappa先生もおっしゃっておられるように、「バリュー株のリターンは少数の爆上げ銘柄に依存する。」と思います。

逆に指標上いくら優れていてもリターンが永久に悪い会社もあるわけで、それはバリュー株の中にビズネットやシステムズデザインのような会社が含まれているからだとも考えられます。

システムズデザインに関してはほぼネットネット株なので一応holdしていますが、実はあまり配当の形で帰ってくることは期待していなかったりします。(笑)

今後とも鋭い分析を期待しております。
(October 08, 2006 17:46:03)

空色:

はじめてコメントします。空色と言います。
自己責任と言ってしまえばそれまでですが、確かに、同一の株主が競合する子会社を別々に上場させるというのは問題ですね。そもそも、競合するような事業をどうして複数の子会社に別々にやらせているのか分かりませんが。
ビズネットとアスクルのような極端の事例は論外として、私は子会社上場にはネガティブです。四季報を見ていると、売上の大半を親会社に依存していている上、発行済株式の大半を親会社が保有している上場会社を見掛けますが、いつ親会社の都合で上場廃止になるかも分からず、親会社が倒れたら共倒れになるような会社を上場するのは無責任でないかと思います。

初めてのコメントで長文失礼いたしました。

(追伸)
恥ずかしながら、この記事で初めてREFIGHTさんのサイトを知りました。ずいぶん中身が濃そうですね。
(October 12, 2006 01:25:33)

cpainvestor:

空色様

コメントありがとうございます。同じような考え方を持つ個人投資家が増えていくことが、日本の資本市場を良くしていくことにつながるのだと思います。

ブログ読ませて頂きました。簿記を勉強されているとのこと。私は個人的に結局好きになれない科目でしたが、私達の業界の言語でもあるため、一通り勉強しました。がんばって下さい。これからもちょくちょく訪問させていただきます。
(October 12, 2006 23:23:01)
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